教材リリース日:2020年6月

なぜ、甲状腺機能亢進症の猫にすぐに内服薬治療をするのは危険なのか…?

猫の甲状腺機能亢進症を
適切にコントロールできますか?

先生もよくご存じのとおり、甲状腺機能亢進症は高齢猫の代表的な疾患です。糖尿病、慢性腎臓病と並んで、もっとも一般的な猫の内分泌疾患ですので、先生も遭遇する機会が多いと思います。

伴侶動物の高齢化が進む今の時代、ますます甲状腺機能亢進症の猫が増えることは間違いありません。そのため猫の甲状腺機能亢進症は、日常臨床上とても重要な疾患であると言えます。

猫の甲状腺機能亢進症は、ほとんどの場合、定期健康診断で発見されます。しかし、食欲旺盛なまま進行することが多い疾患のため、飼い主さんが病気と気づかないケースも少なくありません。

また、一度発症したら生涯に渡って付き合っていく疾患のため、獣医師の先生には「いかに甲状腺ホルモンの分泌をコントロールし、長生きさせられるか」が求められますが…

猫の甲状腺機能亢進症に
隠された深刻なリスクとは…?

甲状腺機能亢進症の治療において、獣医師の先生を悩ませる問題があります。それは甲状腺機能亢進症の猫は高齢であることが多いため、慢性腎臓病(CKD)を併発しているリスクがあることです。

しかし、甲状腺機能亢進症により腎臓の血液量が増大した猫は、検査上は腎臓機能が正常に見え、慢性腎臓病の症状が隠されてしまうことがあります。

もしかすると先生も、「甲状腺機能亢進症の内服薬治療をはじめた途端、正常だった腎臓の数値が上昇して慌ててしまった」という経験があるかもしれません。

これは、メルカゾールの投与により腎臓の血流が正常化され、本来の腎機能があらわれることで起こる問題で「アンマスク」と呼ばれます。

では、もしここで先生が、教科書どおりにメルカゾールを投与し、経過観察をしたのなら?

1か月後の再検査では、慢性腎臓病はさらに進行しており、取り返しがつかないことになるリスクがあります。もっと悪いケースでは、尿毒症に発展してしまうこともありますが…

どうやって、治療すれば良いのか…?

猫の甲状腺機能亢進症は、適切な治療がおこなわれれば長期間に渡って良好にコントロールすることができます。実際、12歳で治療をスタートし、20歳前後まで生存したケースはめずらしくありません。

伴侶動物が高齢化する時代、獣医師の先生に求められるのは、「できる限り入院や手術をすることなく長生きさせ、天寿をまっとうさせてあげること」ではないでしょうか。

飼い主さんも当然、できる限り長生きして欲しいと願っているはずです。しかし、猫の甲状腺機能亢進症の治療は、基準用量の抗甲状腺薬を投与すれば良いという単純なものではありません。

逆に内服薬一辺倒の治療は潜在的な疾患を見落とし、もっと長生きできるはずの猫を手遅れな状態にさせてしまうことにもなりかねません。

だからこそ、甲状腺機能亢進症は全身性疾患であることを正しく理解し、循環器系および腎臓機能への影響を十分にモニターしながら治療をおこなう必要があるのです。

では、具体的にどのように治療すれば良いのか?今回、猫の甲状腺機能亢進症の具体的な治療法を、「さがみ中央動物医療センター」の院長を務める、竹内先生から学ぶことができます。

山﨑 裕毅先生
山﨑 裕毅先生
昭和53年に麻布大学獣医学科卒業後、昭和55年に「竹内獣医科病院」(小動物専門)を伊勢原市で開業。「ゆりかごからお別れの時まで」地域の動物たちの一生のホームドクターを目指し、動物医療に取り組んでいる。最近では病院業務の他にも各地で内分泌疾患に関連する講演を行い、全国の動物医療の発展のために力を注いでいる。平成29年9月末より移転し、「さがみ中央動物医療センター」と改名。規模を拡大して、さらなる獣医療の発展を目指す。

■肩書き
日本獣医師会会員、神奈川県獣医師会会員、日本小動物獣医師会会員、日本臨床獣医学フォーラム幹事、夜間救急動物医療センター代表取締役、アイデックスラボラトリーズ アジアンアドバイザリーボードメンバー
■過去の実績
日本臨床獣医学フォーラム代表幹事
日本獣医臨床病理学会理事
日本小動物獣医師会福利厚生委員
日本小動物獣医師会薬用量マニュアル第2版編集委員長
日本小動物獣医師会薬事委員
■内分泌関係の連載
・CAP 小動物臨床内分泌疾患の維持管理  チクサン出版社 連載
・犬の糖尿病のモニタリングと血糖曲線の評価法 2005年3月
・小動物糖尿病治療の最新情報 2005年3月
・犬の甲状腺機能低下症の診断 2005年5月
・猫の甲状腺機能亢進症の診断と治療 2005年7月
・クッシング症候群の診断と治療 2005年9月
・犬のアジソン病の診断と治療 2005年11月
■主な執筆・共著・映像
主な執筆・共著・映像
■受賞
2009年 内科学アカデミー:シスメックス賞
■講演及び院外活動
・日本臨床獣医学フォーラム 東北地区大会 VET’S FORUM in SENDAI ⅩⅢ
 「多飲多尿を示す病気について」
・ファイザー製薬,「レベンタ」プロモーション講演(大阪)
・アイデックスラボラトシーズAsian Advisory Board Member(AAB) 会議
 場所:韓国チェジュ島ロッテホテルにて
・講演「日常臨床における急性嘔吐について」 
 場所 :韓国・済州島 新羅ホテル 主催:ファイザー
・世界小動物獣医師大会in チェジュ 参加
・秋田県白神研究会 講演
・神奈川県獣医師会 中央支部 講演
・宮崎県獣医師会 講演 甲状腺機能低下症の診断と治療
・ファイザー製薬,「レベンタ」プロモーション講演
・千葉県獣医師会京葉支部 講演
 甲状腺機能低下症とレベンタプロモーション講演
・ファイザー社員研修講演
 新しい制吐剤「セレニア」の臨床応用似ついて
 場所:新宿NSビル
・小田原西湘獣医師会 セミナー講師
 猫の甲状腺機能亢進症の診断と治療
・日獣医学フォーラム九州地区大会 講師
 猫の甲状腺機能亢進症の診断と治療
・日本臨床獣医学フォーラム東北地区大会 
 「日常臨床での急性嘔吐について」 場所:仙台国際センター
・韓国ソウル アイデックスラボラトリーズ開業記念講演
 犬の甲状腺機能低下症の診断と治療
・第13回日本臨床獣医学フォーラム北海道地区大会
 獣医師向けセミナー「猫甲状腺機能亢進症の診断と治療」
 VT向けセミナー「高齢猫の注目すべき疾患」 場所:札幌コンベンションセンター 
・JBVPレクチャーシリーズ 講師
 犬の副腎皮質機能亢進症の診断と治療
・世界皮膚病学会(カナダ,バンクーバー)参加
・小田原市獣医師会 講演
・鏡島市獣医師会 講演
・四国レクチャーシリーズ講演
・日本臨床中医学フォーラム年次大会 講演
・アイデックスラボラトリーズ プロサイトDXプロモーション講演with Dr.Kintzer
・群馬県中医師会 講演
・四国JBVPレクチャーシリーズ 講演 糖尿病
・福島県獣医師会 講演 プロサイトDXの臨床応用
・北九州市獣医師会 講演 甲状腺機能低下症の診断と治療
・宮崎県獣医師会 講演 クッシング症候群の診断と治療
・秋田県 白神研究会 講演 甲状腺機能亢進症の診断と治療
・大阪JBVPレクチャーシリーズ 講演
 犬の甲状腺機能低下症
・四国レクチャーシリーズ 講演
・大阪WJVF 講演
 犬の糖尿病の最新治療
 VT向け講演:待合室での看護学,受付におけるトリアージ
・アイデックスラボラトリーズ
 Asia pacific advisory board member meeting in Hawaii
・大阪レクチャーシリーズ 講演
・四国レクチャーシリーズ 講演
・JBVP年次大会 in 東京ニューオータニ
 VTセミナー:よく食べてよく飲んで肥満になる病気「副腎皮質機能亢進症を学ぶ」
 VTセミナー:よく食べて良く遊んで痩せて行く病気「猫の甲状腺機能亢進症を学ぶ」
 Mystery case discussion : in English
 An acute onset of vomiting in an old cat
 Attendant and interpreter for morning short lecture for JBVP
 secretaries held by Dr. Lappin
・大阪レクチャーシリーズ 講演

日本の獣医療における
「内分泌疾患の第一人者」

獣医師歴40年の大ベテランである竹内先生。日本の獣医療では数少ない「内分泌疾患の専門医」であり、膨大な臨床経験を持つ内分泌疾患の第一人者です。

内分泌疾患の正しい治療概念は、日本語の成書や教科書では十分な解説がされてないことも多く、安全な最新技術を国内で学べる機会はほとんどありません。

そのため竹内先生は何度も渡米し、「内分泌の神様」と呼ばれるDr.フェルドマンに学んだり、「内分泌の権威」であるDr.キンザーと日米対談をおこなうなど、積極的に最新の内分泌疾患治療を学んできました。

さらに現在も、猫の甲状腺機能亢進症を初めて文献に記述した獣医師であるDr.マーク・ピーターソンの最新論文などから学び、常に情報をアップデートし続けています。

また、学んだ最新技術を実臨床で活かし、そこで得られた知見を日本全国の獣医師に伝えるため、積極的に講演活動もおこなっています。

つまり、先生が今回学べる竹内先生の猫の甲状腺機能亢進症治療は、豊富な臨床経験と世界的なエビデンスに基づいた安全な技術であると断言できます。

今回、竹内先生が教えてくれた内容を以下に少しご紹介しましょう。

① 臨床スクリーニング検査のポイント

内分泌疾患は、ホルモンの異常だけを測定し、病気を診断するのは良くありません。なぜなら、必ず生体に何らかの異常が起きているから。つまり、ホルモン疾患における二次性の体の異常など、臨床症状を詳しく診る必要があります。

極端な話をすれば、ホルモンの数値だけが異常で、他に体はどこも悪くないということはあり得ません。もし、本当にどこにも異常がないとしたら、そのホルモン疾患は「まだ治療の対象ではない」と判断すべきです。

今回の教材では、内分泌疾患がある場合、血液学検査および血液化学検査でどのような特徴がでるのかをはじめ、竹内先生が推奨する検査法も合わせて詳しく解説します。

② 内服治療薬を徹底的に解説

甲状腺機能亢進症の一般的な治療法である、内服治療薬。先生もご存じのとおり、日本では「メルカゾール(チアマゾール)」が唯一認められている内服治療薬です。

しかし、先ほどもお話したとおり、メルカゾールは基準用量を投与すれば良いという単純なものではありません。作用の強弱は個体ごとに大きく異なるため、「獣医師の先生のさじ加減」がとても重要になるのです。

また、食欲不振、嗜眠傾向、嘔吐、意気消沈、血小板減少などの副作用もあるため、あらかじめ把握したうえで使用する必要があります。

つまり内服治療薬は、単純な基準用量だけでなく、その特性、副作用を詳しく知ったうえで使用することが何よりも大切になるのです。

今回の教材では、もっとも一般的なメルカゾール(チアマゾール)をはじめ、海外で使用されているカルビマゾール、イポダート、有機ヨード剤など、甲状腺機能亢進症治療に用いられる治療薬を詳しく学ぶことができます。

それぞれの内服治療薬の特性、副作用を知ることが重要です
“それぞれの内服治療薬の特性、副作用を知ることが重要です”

③ 明確な基準による診断ガイドライン

たとえば、甲状腺機能亢進症が疑われる猫が来院したとき。どのような手順で診断を進めていけば良いのか、迷ってしまいませんか?

実は2016年に全米猫獣医師協会(AAFP)が、この問題を解決するための猫甲状腺機能亢進症ガイドラインをまとめています。

このガイドラインでは、甲状腺機能亢進症が疑われる猫を「臨床症状の有無」などにより、6つのグループに分類しています。

たとえば、甲状腺機能亢進症が疑われるが、他の疾患も併発している可能性がある場合。臨床的には、甲状腺機能亢進症の臨床症状がみられますが、T4値を測定しても正常なケースがあります。

この場合、AAFPのガイドラインでは、2~4週間後にT4だけでなくfT4EDを測定すること。また、非甲状腺疾患の有無を評価することを推奨しています。

このAAFPの猫甲状腺機能亢進症ガイドラインの日本語版はまだどこにもでていませんが、今回の教材では、竹内先生が和訳したものを詳しい解説と合わせて学ぶことができます。

④ 豊富な症例から学べる治療戦略

今回の教材では、実際に竹内先生が治療をおこなった症例も学べます。

どのように診断し、治療をおこなったのか。また、どのような治療経過がみられたのかなど、実際の映像を含め、他では学べない内容がたくさん収録されています。

以下は、その一例です。

●定期健康診断で早期発見された、猫の甲状腺機能亢進症の一例
●12歳で治療開始して、19歳まで生存した長期観察例
●甲状腺機能亢進症に慢性腎臓病、肥大型心筋症を合併した猫の一例
●院内T4検査で、早期診断例 (低用量のメチマゾールで維持)
●メチマゾールにより出血傾向を示した、甲状腺機能亢進症の猫の一例
●ヨード制限食y/dによる治療例


実際の症例から、具体的な治療戦略を学べます “実際の症例から、具体的な治療戦略を学べます”

猫の甲状腺機能亢進症を
適切にコントロールする方法が
わかりやすく学べます

猫の甲状腺機能亢進症は、適切な治療をおこなうことで長期に渡り良好にコントロールすることができます。

しかし、併発リスクの高い慢性腎臓病や肥大型心筋症などを見落としてしまうと、生存できたはずの猫が手遅れな状態となってしまうこともあります。

だからこそ、猫の甲状腺機能亢進症は全身性疾患であることを理解し、循環器系および腎臓機能への影響を考えたうえで治療をおこなう必要があるのです。

今回、先生が学べる猫の甲状腺機能亢進症治療は、学校や教科書で学べる知識だけではありません。

内分泌疾患の専門医である竹内先生の40年間の臨床経験に裏付けられた、日常臨床に対応できる甲状腺機能亢進症の治療法です。

ぜひ、このセミナーDVDで猫の甲状腺機能亢進症を適切にコントロールする方法を学び、もっと飼い主さんに選ばれる病院作りにお役立てください。

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