少し想像してみてください。ある日、先生は日々のオーバーワークがたたり、風邪をひいてしまいました。咳は出るし、体もだるい。それに何だか熱っぽい…
そこで風邪が悪化する前に、近くの病院を受診することにしました。「こんにちは、今日はどうされましたか?」と、医師から質問があり、「ちょっと、風邪をひいたみたいで…」と伝えますが、医師はパソコンの画面を見ながらカタカタとキーボードを叩いています。
ようやくこちらを向いたかと思うと、「では、とりあえず胸部のレントゲンを撮りましょう」と、いきなり検査を勧められました。まだ詳しい症状を伝えていないにもかかわらず…
先生は、この医師を信頼できますか? 正直、「この病院、本当に大丈夫なの?」と思ってしまいますよね。もし、処方された薬を飲んでも治らなければ、きちんと診てくれる他の病院を探して受診する可能性があります。
正面から向き合わず、すぐに検査を勧める先生よりも、丁寧に問診・視診・触診・聴診をおこなってくれる先生に診てもらいたいのは、誰だって同じです。
家族や友だちが病院を探しているとしたら、きちんと話を聞いてから丁寧に診察してくれる病院を紹介すると思います。「そんなの当たり前じゃないか」と思われたかもしれませんが…
今のは、たとえ話に過ぎません。
しかし獣医療においても、このように一足飛びに検査をおこなう診療が当たり前のようにおこなわれている現実があります。
もしかすると先生にも、「ご家族さんの話をきちんと聞く前に検査をすすめてしまった」という心当たりがあるかもしれません。実際、ある大学病院の獣医師の先生は、紹介来院するご家族さんから、
「かかりつけ医の先生は話を聞いてくれず、
すぐに検査をやりたがった」
「聴診器を当てているところを見たことがない」
など、日常的にこのような話を聞かされると言います。また、ネットでご家族さんのコミュニティを覗いてみると、「病院で聴診をしてくれないのが不安だ」「いきなり検査するのが普通なの?」など、心配の声も目立ちますが…
近年の獣医療機器の発展には、目をみはるものがあります。
最新の超音波装置やレントゲンによる画像診断、CT、MRIなどのハイテク機器による検査は、診断の精度を大きく上昇させました。
でも、ご家族さんとの信頼関係や満足度も同じように上昇したのでしょうか?
ご家族さんの声を集めてみると、必ずしも獣医療機器の発展が信頼構築や満足度を押し上げているとは思えません。
ハーバード大学医学部のDR.エーデルマンは、「聴診器で診察することが、ドクターと患者の絆を築く唯一の機会だ。体に触らず診察する医師を誰が信頼するのか」と言います。(NWJM “患者と医師をつなぐ細い管” E.R. Edelman & B.N. Weber)
この指摘は、ヒト医療に限らず、獣医療にも同じことが言えるでしょう。つまり、どれだけ検査機器が発達しても、獣医師の先生とご家族さんの信頼関係の構築には十分なコミュニケーションが必要であること。
そして、両者の信頼をつなぐ架け橋になるのが「聴診」と言えるのですが…
聴診は、大学教育ではそれほど重要視されていません。また、卒後にセミナーや勉強会などで掘り下げて学ぶ機会もほとんどありません。
そのため、音を聴きとるのが苦手な先生や、何を聴いていいのかわからない先生もたくさんいらっしゃいます。
もし、先生が同じように聴診に苦手意識を持っていたとしても、心配はいりません。
なぜなら今回、いまさら聞けない聴診の基礎から聴取のポイント、異常音の特徴と聴きとり方など、日常診療に役立つ聴診テクニックをわかりやすく学べる教材をご用意したからです。
講師は、日本獣医生命科学大学の教授を務める竹村直行先生です。
1984年4月~ | 日本獣医循環器学会 |
1987年4月~ | 日本獣医師会 |
1987年4月~2001年3月 | 獣医画像診断学会 |
1988年4月~1999年3月 | 日本内分泌学会 |
1988年4月~ | 日本循環器学会 |
1990年1月~ | 獣医腎泌尿器学会 |
1991年4月~2003年3月 | 東北家畜臨床研究会 |
1992年4月~2001年3月 | 獣医動物遺伝研究会 |
1994年8月~1999年3月 | 日本コンピュータサイエンス学会 |
1996年4月~2005年3月 | 日本動物臨床医学会 |
1996年2月~2005年3月 | 獣医がん研究会 |
1997年4月~2001年3月 | 獣医呼吸器談話会 |
1998年4月~2007年3月 | 日本心血管内分泌代謝学会 |
1998年6月~ | 日本ペット栄養学会 |
2005年9月~ | 日本腎臓学会 |
2007年4月~ | International Kidney Foundation |
2007年4月~ | International Society of Nephrology |
2010年4月~ | 日本心不全学会 |
2010年4月~ | 日本心電学会 |
2012年1月~ | 日本獣医皮膚科学会 |
2012年4月~ | 日本肺循環学会 |
1990年1月~1992年12月 | 動物血液透析研究会在京幹事 |
1993年1月~2000年12月 | 獣医腎泌尿器研究会在京幹事 |
1993年1月~2000年12月 | 獣医腎泌尿器研究会編集委員 |
1995年4月~1997年3月 | 日本獣医畜産大学生活協同組合理事 |
1996年4月~ | 日本獣医循環器学会編集委員会委員 |
1996年4月~ | 日本獣医循環器学会評議員 |
1996年4月~ | 東京都獣医師会インターネット委員 |
1998年4月~ | 日本獣医循環器学会理事 |
1999年4月~ | 日本小動物獣医学会(東京地区)評議委員 |
1999年4月~2002年3月 | 東京都獣医師会学術委員 |
2000年4月~ | 日本小動物獣医学会(東京)評議員 |
2001年2月~ | 獣医輸液研究会理事 |
2001年4月~ | 日本ペット栄養学会理事 |
2008年4月~ | 日本獣医学会評議員 |
2008年4月~ | 日本獣医腎泌尿器学会理事 |
2008年4月~ | 日本獣医腎泌尿器学会編集委員会委員長 |
聴診の基本であり、もっとも重要なポイント。
それは、聴診器を当てる前に「何を聴くのか?」を明確にすること。竹村先生は、「ただ単に聴診器を当てて音を聴くだけでは、聴診の意味がない」と言います。
つまり、呼吸器であれ心臓であれ、「どんな項目をチェックするのか」を決めておかなければ、聴診をしても診療に役立つ情報は得られないのです。
では、具体的にどんな項目をチェックすれば良いのか?
聴診器から音が入ってきたら、最初にやるべきことがあります。それは、その呼吸音が正常なのか、異常なのかを鑑別すること。どちらの呼吸音が入ってくるかによって、その後のチェック項目は変わります。
もし呼吸音が正常なら、音の大きさに問題がないか確認します。また、左右差があるかどうかも忘れずにチェックしなくてはなりません。そして、重要なのが異常な呼吸音が入ってきた場合ですが…
呼吸器の異常音は、主に「ラッセル音(ラ音)」を指します。このラッセル音は、①連続性ラ音(乾性ラッセル)と ②断続性ラ音(湿性ラッセル)の2種類に分類されます。
さらに連続性ラ音は、低音性連続音と高音性連続音に細分化されますが、ここで知っておくべきポイントがひとつあります。
それは小動物においては、ほとんどが高音性連続音であるということ。竹村先生は、「低音性連続音は、これまで牛でしか聴いたことがない」と言います。
つまり、「犬や猫で聴取される連続音ラ音=高音性連続音」と考えて問題ありません。
ラッセル音の出現機序を知ることは、臨床上とても重要になります。
なぜなら、出現機序がわかれば「どういう治療が必要なのか?」という大まかな方針が見えてくるから。
では、具体的に連続性ラ音の発生機序を考えてみましょう。連続性ラ音が発生する前提条件は、「気道の部分狭窄がおこる」こと。
部分狭窄が起こる理由には、気管支を取り囲む間質組織に発生する腫瘍や浮腫、また、アレルギー反応による気管支平滑筋の収縮など、さまざまな理由があります。
“気道の空気の流れをあらわしています”
連続性ラ音の笛のような高い音は、この部分狭窄を起こしているところを空気が通るときに、気道壁が振動することで発生しているのですが…
具体的な治療方針は、どう考えれば良いのでしょうか。連続性ラ音の症例では、まず部分狭窄を正常に戻す治療を考えていきます。
治療法は部分狭窄の原因により異なります。たとえば、肺水腫により気管支を取り囲んでいる間質に浮腫ができ、それが圧迫の原因である場合は利尿剤が有効になるでしょう。また、肺の間質に膿瘍がある場合は、抗生剤や消炎剤の使用も有効になります。
“部分狭窄の有効な治療法を考えていきます”
“部分狭窄の有効な治療法を考えていきます”
ご紹介したのは一例に過ぎませんが、聴診技術を磨けば聴取されるひとつの呼吸音から、「どのような治療が必要なのか」という大まかな方針を決められるようになります。
今回、竹村先生に教えていただいたのは、呼吸音の聴診だけではありません。
心臓の聴診のポイントも、異常音の原因や実際の音、具体的な症例と合わせわかりやすく教えていただきました。
こちらも呼吸器の聴診と同じように教科書的な内容ではなく、日常診療にすぐに役立てられる小動物医療に即した内容になっています。
心雑音の解説についても、竹村先生が録音された実際の音を聞きながらわかりやすく学べますが、ここは特に重要なポイントになります。なぜなら…
竹村先生の病院に紹介来院した犬の話です。その犬は、かかりつけ医の検査により心雑音が確認され、僧帽弁閉鎖不全症と診断されました。
そこで心臓の治療をスタートしましたが一向に治療効果が見られず、大学で詳しく検査することにしたのです。
ところが、竹村先生が聴診をしてみると、犬に心雑音はありません。くり返し何度も丁寧に聴診しますが、やはりどこにも心雑音はありません。
つまり、この犬の僧帽弁閉鎖不全症は誤診であり、本来受ける必要のない治療をずっと受け続けていたのです。
このような誤診は日常的に見られ、決してめずらしいものではありません。
その原因は、心雑音の有無を正しく判断できていないこと。つまり、適切に聴診を実施できていない先生が多くいらっしゃるのです。
ぜひ先生も、竹村先生から聴診の技術を学んでください。そうすれば…
【DVD4枚組】(収録時間合計:152分)
教材内訳 |
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価格 |
販売価格 39,980円 (税込43,978円) |
返金保証 | なし |
特記事項 |
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※安心の暗号化通信を採用しています。
この商品のお申込みフォームは、世界でもトップレベルである、グローバルサイン社のセキュリティシステムを利用しており、個人情報保護、セキュリティ強化のため、SSL暗号化通信を採用しています。お申込みの際に個人情報の漏洩は一切ありません。
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