動物病院には、獣医師を悩ませる症例もたびたび来院します。
たとえば、治療に時間のかかる皮膚病や、身体機能が低下した高齢動物の治療などは、その一つと言えます。
しかし、治療ができるのなら、まだ良い方かもしれません。
「手の施しようがない」「状態が悪すぎて治療選択肢がない」などの症例は、治療をあきらめるしかない場合もあると思います。
今からご紹介する症例も、そんな難しい症例です…
ある病院に、8歳のラグドールが来院しました。
患者はショックを起こしているようで、ぐったりとしています。獣医師は、飼い主さんに話を聞いたあと、詳しい検査をおこなうことにしました。
どうやら、腹腔内で肝臓腫瘍が破裂したようで、循環血流量が大きく減少している様子です。
ヘマトクリット値(PCV)は16%とかなり低く、重度の貧血状態にありました。
このような症例はDICを併発していることも多く、緊急的に止血を目的とした腫瘤摘出手術をおこなうのは、高いリスクを伴います。とはいえ、内科的処置で出血が止まる保証もありません。
そこで、その獣医師は、ある治療をおこなうことにしたのです。
治療の結果は、以下のとおりです。
まず、第1病日は16%だったPCVは徐々に回復を見せ、5日後の退院時にはPCV=25%、第36病日には34%まで回復しました。
残存腫瘤は、治療後66日目に摘出。組織検査の結果、この患者は尾状葉の胆管細胞腺腫(出血跡あり)と診断されました。
その後も順調に回復し、第118病日現在、再発することもなく全身状態は極めて良好であるといいます。
重度の貧血を起こし、手術すらできない難しい症例でした。しかし、獣医師の適切な治療により、その生命が救われたのですが…
先生は、IVR(アイ・ヴィ・アール)と呼ばれる治療法をご存じですか?
あまり聞きなれない名前かもしれませんが、IVRとは「Interventional Radiology=インターベンショナルラジオロジー」の略で、日本語では「画像下治療」と訳されます。
文字どおり、レントゲン透視装置や超音波診断装置、CT装置などを用いて体内を透かして見ながら、細いカテーテルや針で標的臓器を治療する方法です。
IVRは、一般的な外科手術のようにお腹や胸を切りません。
針の穴程度の小さな傷だけで、身体の奥にある臓器や血管の治療ができるため、患者への負担が圧倒的に少ないことが特徴です。
これまでにないメリットをもたらす画期的な治療法と言えます。
メリット① 開腹手術に頼らない、安全な治療ができる
IVRの一番大きなメリットを挙げるなら、何といっても圧倒的な「低侵襲治療」です。
IVRは、動物へ与える痛みや術後の傷が少ないことはもちろん、入院期間も大幅に短縮できるメリットがあります。
たとえば、門脈シャントの治療の場合。
一般的に治療は腹部を切開し、シャント血管を縫合糸で結紮、閉鎖します。多くの場合、胸の下辺りから下腹部ギリギリまで大きく開くため、そのぶん動物への負担も大きくなります。
しかし、IVRならお腹を開く必要はありません。
針の穴程度の小さな傷だけで、安全な治療ができるため、術後の回復も早いのです。
また、小さな血管を拡大視野で観察できる、臓器が乾かないため癒着しにくいなども、IVRの大きなメリットです。
メリット② 今まであきらめていた症例を救える
たとえば、緊急の症例や手術が難しい症例など…
先生もこれまで「何とかしたいけれど、手の施しようがない」といった症例に遭遇した経験があられるのではないでしょうか。
冒頭でご紹介したラグドールの症例や、DIC(播種性血管内凝固)の症例などは、その代表的なものといえるでしょう。
特にDICの状態にある場合、手術が難しいケースも多いと思います。
なぜなら、DICの状態にある患者にお腹を開けるなどの侵襲を加えると、その手術の影響で死亡する可能性が高くなるからです。
ある文献によると、お腹の腫瘍が破裂した猫が来院し、元気に退院できる確率はわずか20%程度だそうです。
しかし、IVRなら低侵襲の治療ができるため、DICを起こしている症例に対し、遥かに安全な処置ができます。
現在、人医療のIVRにおいては、お腹の中で腫瘍が破裂したような緊急の症例は、まず、第一選択でIVRによる止血を最優先したあと、手術を行うのがスタンダードになってきています。
獣医療においても、今後は「まずは、IVRで止血を行う」ことがスタンダードになってくると予想されます。
このような治療ができれば、今まであきらめていた症例も、救えるケースが増えていくことでしょう。
メリット③ 地域の信頼を集める病院になれる
肝臓癌や肝臓腫瘍には、手術が難しい症例も多々あります。
たとえば、重要な血管を巻き込んでいたり、重要な臓器に癒着していたりして、専門の大学病院でないと対応が難しいという症例に遭遇したとします。その場合、緩和治療を選択するのが現状の獣医療です。
近隣に専門の大学病院があれば紹介できるかもしれませんが、地域によっては紹介が難しい院も少なくありません。
もしかしたら先生も、「できる治療があるのなら、何でもお願いしたい」と考える飼い主さんに対し、提案できる治療がなく、悔しい思いをされた経験もあるかもしれません。
このような症例に対しても、IVRは有効です。
なぜなら、IVRは低侵襲で抗腫瘍効果を狙った治療ができるため、新しい治療選択肢として飼い主さんに提案ができます。
飼い主さんに寄り添った提案ができれば、かかりつけ医として、地域の信頼を集められるようになることは間違いありません。
ここまでご説明したように、IVRを導入するメリットはたくさんあります。
しかし、人医療では「スタンダードな治療法」とされているとはいえ、獣医療においては、まだその存在すら知らない先生もたくさんいらっしゃいます。
そのため、学校の授業はもちろん、専門書やセミナーなど、IVRの治療技術を学べる機会はほとんどないのが現状です。
IVRは、これまであきらめていた症例にも、「新しい治療選択肢」として提案できる画期的な方法です。
多くの獣医師に役立つ治療技術であることは間違いありません。
そこで今回、「肝疾患に対するIVR」をわかりやすく学べる教材をご用意いたしました。
講師は、ご自身の院でIVRを導入し低侵襲治療を実施されている、新潟県にある川村動物病院の院長を務める、川村先生です。
今回の教材のテーマは、「肝疾患に対するIVR」です。
いくつかあるIVR治療法の中でも、肝疾患に対する治療法を基礎から実践まで、わかりやすく学べる内容になっています。
たとえば、「IVRとは何か?」ということはもちろん、外科治療に携わっていないと中々学ぶ機会のない肝臓の解剖や、IVRに必要な器具とその使い方など、一から学べます。
IVRの手技は、図やCGなどで視覚的に理解したあと、川村先生のデモンストレーションを見ながら直感的に習得できるように構成されています。
ぜひ先生も、画期的な治療法であるIVRを習得してください。そうすれば…
胆泥や肝臓の小さい腫瘍の服薬治療を続けていたが、2年前に首のリンパ節の腫れが見つかり、リンパ腫(低グレード)と診断された。毎日の抗がん剤、ステロイドなど薬の量が多くなってしまい、体重は減り、皮膚のあちこちにイボ状のしこりができるようになった。最近も肝臓に3cm程の腫瘍ができてしまい、抗がん剤を投薬中でも身体への負担が少なく治療できる「アブレーション治療」を行ってもらいました。我が子同然なので、どんな治療でも受けさせて少しでも長生きして欲しいので、できるだけ身体に負担の少ない、有効な薬や治療を期待します。
令和元年7月21日の朝のことでした。D(猫の名前)はベットの下でうずくまっていて、いつもとは違う様子でした。「これはただごとではない」「時間的に待てない」と思い、急いで川村動物病院へ。AM9:00に着きました。血液検査の結果、血液濃度が低いことがわかり、エコーで大きな腫瘍が見つかりました。肝臓から出ていて、そこから出血していることが予想されました。選択肢として、開腹手術かカテーテル手術があり、全身の状態が悪く開腹手術はリスクが高いことが予想されたため、私はカテーテル手術を選択しました。手術は無事に終わり、腹腔内の出血は止まり、元気な状態で退院できました。再出血を予防するために約2ヶ月後に腫瘍の摘出手術を行ったが、全身状態がよかったために安全に摘出を行ってもらえました。最初にカテーテル手術をしてもらい、本当によかったと思います。
川村先生には我が家の三毛猫が大変お世話になっております。9歳の時にCTと腹腔鏡検査で「十二指腸重複症」と診断していただき、十二指腸を部分的に切除、つなぎ合わせる手術をしていただきました。難しい手術とのことでしたが、先生に全てお任せし、元気になることができました。しかし、昨年(2020年)に「消化管型リンパ腫(小細胞性/低グレード)」がわかり、先生のアドバイスを受けながら抗がん剤治療を続けています。これから先、どうなるかと考えると不安で一杯ですが、最後まで先生にお願いしようと思っています。
今回、1つめの特典は、IVRの手技に必要な器具、機材をまとめたシートです。IVRの導入の際に参考にしてください。
IVRは、まだまだ飼主さんの認知も低いです。
IVR治療の説明の際や、先生の院でIVRを導入された際には、飼主さんへのインフォームドコンセントにご活用ください。
教材に収録された川村先生の講義がまとめられた、セミナーレジュメをお渡しいたします。教材をじっくり視聴するお時間がなければ、まず、この冊子から先に目をとおしてください。そして、気になる個所の映像から視聴していただければ、効率のよい学習が可能です。もちろん、復習用のテキストとしてもご活用いただけます。
「もしかしたら、もう知っている内容ばかりかもしれない…」「内容を理解できるか不安だ…」「期待にそえる教材なのか?」など、こう思われた場合もご安心ください。
なぜなら、DVD教材の内容にご納得できなければ返金させていただくからです。60日間、じっくりとDVDをご覧いただき、先生の選択が正しかったかどうかをご判断ください。
送料も、返金振込料も、弊社が負担させていただきます。返金保証が付いている、獣医師向け教材なんて、ほとんどありません。これは、今回リリースするDVD教材への自信そのものです。
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