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答えは
先生が立てた診断仮説はいかがでしたか?
もし、正解されたなら、さすがですね。様々な患者さんを診療してきた、経験、知識をお持ちなのですね。今回学べる、臨床推論を用いた体重変化から読み解く診断アプローチを日常診療で最大限に活用してもらえることでしょう。
症例の体重の変化を見るときは、患者さんの脂肪や筋肉量を評価するのが大切です。そして、このような場合、検査などを行なう前に特に大切なことが、食事量が十分かどうかを確認することです。
この患者さんの食事量を確認したところ、毎回、手作り食でした。具体的には、鶏肉と野菜を煮込んだものがベース、1日分を煮込み、それを朝晩に分けて、ご飯をあげていました。飼い主さんにこの手作り食を見せていただくと、かなり水分量の多い食事でした。
そして、食事の量を確認すると、実は症例(8kg)の必要カロリーの半分も取れていないことが判明しました。
その結果、患者さんはお腹もすいて、ご飯もガツガツ食べるけど、痩せていくという事態になっていたのです。
進行性の体重減少として診断を進めようとしましたが、食事量を確認することで、食事量の不足と診断しました。
このようなケースの場合、食事量を把握することなく、検査を行ってしまうと、不要な検査を繰り返してしまうことになります。そして、いつまで経っても確定診断に至らないという事態になりかねません。
忙しい臨床現場では「こういう時には、こういう検査をして、この治療をする」といったパターンでの診療をされているのではないでしょうか。
検査の結果、スムーズに確定診断にたどり着ければ良いのですが、「検査をしたけど、何もわからなかった」というケースもあるのではないでしょうか。
先生は、その理由について考えたことがありますか?
検査をしても何もわからない要因の一つとして、検査をする前に患者の情報を集め、そこから考えられる鑑別疾患を挙げられていないことにあります。
つまり、「とりあえず」で行なう検査は、「見逃し」といった遠回りをしてしまう可能性があります。
今お話した問題は、診療がパターン化されていることが要因の一つとして考えられます。
例えば…「下痢の症例が来院したら、まずこういう検査をする」「その結果がこうであれば、この薬を処方する」というパターンです。
では、パターン化された「とりあえず」の診察でうまく確定診断にたどり着けなかった場合は、どうすればいいのか?
それには、先生の経験パターンから診断仮説が思いついたら、確定せず、患者の臨床徴候と似通った症状を上げる必要があります。
たとえば、Aという症状と診断仮説が思いつきました。Aと確定する前に、似通った症状の可能性はないのか、考慮し、B,Cといった症状があるなら、B,Cでない可能性も考えないといけません。
しかし、このような論理的な思考プロセスは、大学や勤務医時代には学ぶことができなかったはずです。
そのために、今回、犬と猫の総合診療&外科サポートの石川先生をお招きし、大学や勤務医時代では、学ぶことができない、臨床推論を用いた体重変化から読み解く診断アプローチを教えていただきました。
具体的には、患者の臨床徴候から診断仮説(鑑別診断)を立て、その仮説を検証し、診断を下す論理的な思考を学べます。
今回、先生が学べるのは、臨床推論を用いた体重変化(減少、増加)から診断を導く方法です。学んだ知識を臨床の現場でどう活かすのか、その具体的な方法を犬猫の「体重の変化」を例にご説明します。
もしかしたら、こう思われたかもしれません。確かに体重の変化を主訴に来院する症例は、それほど多くありません。しかし、下痢や嘔吐などに付随する問題としては、とても多くみられます。
さらに体重変化の原因をよく調べると、そこに思いもよらない病気が隠されていたケースも少なくありません。
なぜなら、ひと言で「体重の変化」といっても、体液や脂肪、骨格筋、各臓器、骨など、何が増減したのかで、疑われる疾患が大きく変わるからです。
体格や栄養状態の評価というのは、体重だけでなく、BCS(ボディコンディションスコア)、MCS(マッスルコンディションスコア)、これらをみて、総合的に評価していく必要があります。
まず体重についてです。私たちも含め動物はさまざまなものによって構成されています。体液、脂肪、骨格筋、各臓器、骨、これらの総和が体重です。体重を評価するときには、各組成の総和で変化を考えることが大切です。
体重の変化、体重増加と体重減少は、どのように起こっているのでしょうか。
たとえば、体液が溜まる場合、胸水がたまる、腹水がたまる、組織の間質に浮腫が多い、こういったもので体液の量が増えると体重増加が起こります。
一方、体が脱水症状になれば当然、体重減少が起こります。
この症例はネフローゼ症候群による重度の浮腫で体重が増えています。このような症例を肥満と勘違いしないように気を付けないといけません。
脂肪の変化、脂肪が増加するときはおおくは肥満過体重です。脂肪が減少する場合は、ダイエットをしている、栄養が足りていない、栄養の吸収がうまくいっていない、代謝が亢進している、こういったときに脂肪が減少し、体重が減少します。
骨格筋が減少するときは、ダイエットをしている、低栄養、吸収不良、代謝亢進、悪液質、このような状況で骨格筋が減少し、体重が減少します。
骨格筋が増加して、体重増加が問題になることは、ことはあまりありません。ですので、骨格筋と減少の評価が大切になってきます。
この体重減少の症例は、がん性悪液質(リンパ腫)になっています。
肋骨が浮いていて、腸骨の部分も浮いています。側頭筋もかなり萎縮しています。重度の筋肉質の減少が起こっていることがわかります。
各臓器の増加について、臓器が大きくなる、あるいは、臓器に大きなデキモノができる、あるいは嚢胞や水腫といったものが各臓器に形成されることにより、体重の増加を起こします。
各臓器が小さくなることが体重の変化に与える影響はあまりありません。ですので、臓器の変化というのは大きくなるほど体重が増えると考えておけば良いでしょう。
この症例は、柴犬、体重12.5kgですが、体重のうち卵巣脳腫が1.6kg占めていました。これだけでも体重の約1割を占めることになります。
そのため、臓器重量が増加しているときは、脂肪や筋肉量が減少していても、体重は変わっていない場合があります。
よって、臓器重量が増加しているときは、見た目の体重に惑わされないように、脂肪や筋肉量もしっかり評価しなければいけません。
BCS(ボディコンディションスコア)は、主に皮下脂肪の量を評価するための尺度です。肥満と削痩の両方向で評価をします。有名なのは5段階ですが、今は9段階で評価されているものも多くあります。
MCS(マッスルコンディションスコア)はBCSに比べるとマイナーではないでしょうか。MCSは、筋肉量を評価するための尺度です。BCSは主に脂肪の量を評価するのに対して、MCSは筋肉量を評価するための尺度です。
どのくらい筋肉量が減少しているか? その筋肉量の増加に関してはMCSでは評価しません。減少の度合いを評価しています。教材内でご説明していますが、悪液質などの筋肉減少がメインとなる病態の評価にも重要となります。
今回の教材では、臨床推論の基本を学んだあと、体重変化の実際の症例からその思考の活かし方も学んでいただきたいと思い、石川先生に症例解説もしていただきました。
症例解説(犬3症例、猫2症例)で、臨床現場での活かし方を身につけていただけます。
教材の内容を一部ご紹介すると…
今回の教材には、購入特典をご用意しました。
それは、体重、体格の評価のポイントを実演した映像です。
体格や栄養状態を評価するとき、先生は、どのように行ないますか? もし、体重だけをチェックしていたとしたら、それだけでは不十分と言えます。
なぜなら、正しい評価をするには、脂肪量や筋肉量も合わせて評価する必要があるからです。
そのためには、身体診察時に動物の身体をくまなく触り、確かめることが重要になります。
この特典映像では、どのように脂肪量や筋肉量を評価するのか、そのポイントを石川先生の実演をみながらわかりやすく学べます。
特典映像からは、以下の内容が学べます。
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