
From:権田
日付:2026年11月02日12:00
講師紹介
ふくしま りゅうじ
Profile
元東京農工大学教授・獣医学博士。大学での教育・研究に加え、動物医療センター長や、小金井動物救急医療センター長を歴任。一次診療、二次診療、救急まで幅広い現場経験を持つ。2026年に東京農工大学を退職した後、「動物ME解析センター」を設立。現在は、高度な二次診療の支援や外部との診療業務提携など、獣医療の発展に向けた活動をおこなっている。
福島先生が今も強く印象に残っているという、一頭の猫がいます。
その猫は「急に倒れ、けいれんする」という主訴で、5つもの動物病院を受診していたにもかかわらず、失神の原因は分からないままでした。
高カリウム血症の治療を受けても改善は乏しく、発作時には瞳孔を大きく開き、絶叫するように倒れた後、数秒で何事もなかったように動き出します。一般的な検査でも決め手はなく、心電図も判読困難でした。
転機となったのは、ご家族の動画と四肢誘導で記録された、たった1回の期外収縮です。そのわずかな手がかりから不整脈による失神が疑われ、ホルター心電図で原因が判明し、最終的にペースメーカー埋め込みへとつながった症例です。
この症例が示しているのは、最初に診察した先生方の技術不足ではありません。
重要なのは、猫の循環器診療には、日常診療の流れだけでは見落としやすい「構造的な盲点」があるということです。
まず猫の失神は、絶叫や四肢のピクつきを伴い、てんかん発作のように見えることがあります。
さらに、心エコーで形態や動きに大きな異常が見えなくても、心筋障害や伝導異常といった電気的な問題は残り得ます。しかも猫の心電図は、波形が小さくノイズも多いため、記録も解釈も容易ではありません。
つまり本当の問題は検査不足ではなく、猫で何を疑い、どの所見を重く見て、どこで次の検査につなぐかという基準が十分に整理されていないことなのです。
では、こうした盲点をどう埋めればよいのでしょうか。必要なのは、心エコーか心電図かを二者択一で考えることではありません。
心エコーで形態や動き、血流を評価しつつ、それだけでは拾いにくい電気的異常を心電図で補うことです。
つまり、猫の循環器診療において心電図は、心エコーの代替ではなく、見落としを減らすための「重要な補完手段」なのです。ただし猫では、波形が小さい、記録が不安定、犬の基準では誤って解釈しやすいといった難しさがあります。
本教材では、猫専用の心電図の取り方、読み方、不整脈の見極め方、さらに治療へのつなげ方までを一連の流れで学べるように整理。
これにより、原因不明で終わりがちだった症例にも、もう一歩踏み込むための判断材料を得やすくなります。

●11月02日(月)12:00 にお申し込み専用ページをご案内しますので、
今しばらくお待ちください。