多飲多尿の犬や猫。遭遇する機会の多い症状ですから、毎日のようにそうした動物を診られていると思います。
先生は、普段どのように診断をつけていらっしゃいますか?
というのも、腎泌尿器疾患をはじめ、糖尿病・副腎皮質機能亢進症・甲状腺機能亢進症などの内分泌疾患、子宮蓄膿症などの感染症、高カルシウム血症や低カリウム血症などの電解質異常・・・
多飲多尿の原因疾患は実にさまざまです。よくある疾患から珍しい疾患まで含めると、多飲多尿から考えるべき原因疾患の数は20を超えます。
上記の一覧を見てわかるように、多飲多尿が大きな病気のサインとなることも珍しくありません。これを普段の診療の中で、どう鑑別していくべきでしょうか。
真剣に鑑別診断リストを検討し、すべてを除外して診断をつけるとなると、動物や飼主様に相当な負担を強いることになります。
そこで、実際には、どこかで妥協して状況に応じた検査で疾患の確定/除外をすることになります。では、初動でどこまでは疑い、どこからは次の段階に先送りするべきでしょうか。
経験豊富な先生方には「今さら感」のある話題かもしれませんが、正書やWSAVAのガイドラインで、初動でどこまで調べるべきとされているかをおさらいする良い機会かもしれません。
また、若い先生方の中には日々の臨床の中で「これで本当に充分なのか?」「もっと詳しく検査しなくていいのか?」と、判断に迷うこともあるかと思います。
そんな先生にぜひ見ていただきたいと思います。今回お伝えすることが、先生が日々行う多飲多尿の鑑別診断の中で少しでも助けになれば幸いです。
講師は、東京大学大学院 農学生命科学研究科 獣医臨床病理学研究室 准教授を務める米澤先生です。
上記の通り、多飲多尿の鑑別疾患は20以上あります。
多飲多尿を主訴に来院した症例に対し、はじめからすべての疾患の可能性を求めて検査したのでは、動物や飼主にかかる時間も負担も費用も大きくなります。
そのため、実際にはどこかで妥協して状況に応じた検査で疾患の確定/除外をすることになります。
この際、米澤先生は、「正書によれば、多飲多尿の一般的な原因疾患は4つ(犬で3つ、猫で3つ)ある」と言います。その原因疾患とは、
です。多飲多尿を疑う際のミニマムデータベース(後述)は、これを強く意識して作られています。また、そのデータベースは、他の鑑別疾患の多くも網羅されています。
多飲多尿の診断における最初のアプローチは「本当に多飲多尿なのか?」を確認することです。
一般的に多飲とは、犬で100mL/kg/day以上、猫で50 mL/kg/day以上を指します。ただし、これには食べ物の水分も含みます。そのため、多飲多尿の計算をするときは注意が必要です。
本当に多飲多尿だった場合、次のアプローチは「4つの原因疾患」を念頭に置いたミニマムデータベースを作ることです。
つまり、腎臓病(慢性腎臓病、急性腎臓病)、糖尿病、副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能亢進症の鑑別のための検査を行います。また、この検査項目は、他の多くの疾患の鑑別にも適用されます。
これらの4つの検査は必要になります。この結果によっては、さらに内分泌検査(犬:ACTH刺激試験、猫:T4)が加わります。
ここまでが、多飲多尿の診断におけるミニマムデータベースになります。
ミニマムデータベースをもとに、まずは発症率の高い4つの原因疾患について検討します。
たとえば、BUNやCreの上昇や尿比重の低下が認められたら、現病歴や画像所見と照らし合わせ、慢性腎臓病なのか、急性腎障害なのか特定していきます。
他にも、尿検査で尿糖陽性や尿蛋白陽性、血液検査で低蛋白血症が認められた場合などは、ファンコーニ症候群に特有の検査所見と言えます。
ただし、BUNやCreの上昇や尿比重の低下がみられなくても、腎臓病を完全に否定できません。初期の腎臓病では、多飲多尿を認めるにもかかわらず、BUNやCreの上昇がみられないことがあります。
そのため、BUNやCreの上昇がない場合でも、「潜在的な」腎機能不全がある可能性は考える必要があります。
糖尿病の診断基準は、
とされています。先ほどのミニマムデータベースから、糖尿病の診断が可能です。
治療の際には、基礎疾患や併発疾患の有無を十分に調べる必要があるため、追加でそれらの検査をおこないます。
尿糖陽性だけでは糖尿病と診断できません。生理的尿糖やストレス、急性腎障害、ファンコーニ症候群などの可能性が挙げられます。
・・・とこのように、ミニマムデータベースをもとに、副腎皮質機能亢進症と甲状腺機能亢進症についても検討し、必要に応じてACTH刺激試験やtT4、TSH測定を行って診断に結びつけます。
このミニマムデータベースのいいところは、これによってこの4つの疾患だけでなく、多飲多尿を引き起こす20以上の原因疾患の多くの診断が網羅されている点です。
このサイトでの説明はここまでですが、この先の鑑別診断の検討を慎重に行うことが重要です。
ご購入の上、是非つづきをご覧ください。
このDVDで収録されているのは、診断アプローチ方法の説明だけではありません。
多飲多尿を主訴に来院された患者に対し、「具体的にどのように診断にたどり着くのか?」を詳しく解説した実際の症例もたくさん収録しています。
多飲多尿の診断アプローチをベースにしながら、同時に他の疾患の可能性も考えていく一連の流れからは、学べることがたくさんあるはずです。
収録されている症例のひとつをご紹介します。
主訴は、多飲多尿と食欲不振、活動性低下です。
2か月ほど前から多飲多尿がみられるようになり、活動性の低下を訴えて来院されました。
13歳の高齢の猫であることを考慮すると、鑑別診断リストのトップには腎臓病や甲状腺機能亢進症が挙げられます。
ただ、この猫には主訴以外にも特徴的な症状がありました。
それは、下の写真のように、常に頭を垂れ、首を上にあげられませんでした。
血液検査および尿検査の結果は以下になります。
CBCに特異所見はありませんでした。血液化学検査の結果では、Creが1.7 mg/dLと高く、腎臓病が疑われます。また、カリウムが2.3mEq/Lと低値を示していました。
以上から、この猫には低カリウム血症があり、加えて腎臓病である可能性が考えられました。
低カリウム血症の鑑別と、腎臓病の精査のために血圧測定、レントゲン検査、腹部超音波検査をおこないました。結果は以下の通りです。
レントゲン検査では心胸郭比拡大と、血圧検査では高血圧のあることが分かりました。
多飲多尿の原因疾患のひとつに、低カリウム血症があります。この症例の場合は腎臓病もさることながら、低カリウム血症による多飲多尿が考えられます。
では低カリウム血症の原因はなんでしょうか。
低カリウム血症の鑑別診断も多々あります。本症例では確定診断のためにアルドステロン・レニン活性を測定しました。
検査の結果、基準値50~130に対し、442pg/mLと異常な数値を示しました。
レニン活性は測定限界未満だったことから、低レニン高アルドステロン症であることがわかりました。
画像検査の結果と合わせて、この症例は原発性アルドステロン症と診断しました。
原発性アルドステロン症は、犬ではほとんど出会うことのない疾患ですが、猫ではたまに遭遇することがあります。
高血圧や低カリウム血症などは、腎臓病の猫にもみられるため、原発性アルドステロン症が見過ごされることも少なくありません。
多飲多尿の診断アプローチでは、このような隠された疾患を見逃さないことも重要になります。
今回の教材には、ご紹介したような実際の症例もたくさん収録しました。
多飲多尿は、日常診療で出会う機会の多い疾患です。
しかし、多飲多尿の原因疾患は20以上もあります。ルーティンでおこなうスピーディーな診断だけでは、大きな疾患を見落としてしまうリスクを捨てきれません。
多飲多尿の診断には、一般的に多く認められる疾患を念頭に、ミニマムデータベースを作って鑑別診断を検討し、それでもだめなら特殊な検査を行うという、段階に分けた診断アプローチが重要です。
これをおこなうことで、
Section1. 多飲多尿の診断アプローチ
多飲多尿を主訴にした症例紹介①
多飲多尿を主訴にした症例紹介②
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