住宅街にある小さな動物病院のお話です。
午後の診療も終わろうとするころ、大きなメインクーンを抱え、不安そうな表情の飼い主さんが来院しました。
飼い主さんに詳しいお話を聞いてみると、「何だか最近元気がない」とのこと。食欲はいつもと変わらず、嘔吐、下痢などの症状もないのですが、以前と比べて明らかに活動性が低下しているようです。
ドクターは触診、聴診、血液検査とひと通りの身体検査をおこないましたが、とくに異常と思われる症状はありません。
「病気ではありませんよ」「数日、様子を見てみましょう」と伝えると、飼い主さんは安心して帰られましたが…
1ヶ月後、再びその猫が来院しました。
前回とはまったく様子が違い、ハーハーと苦しそうに呼吸をしています。診察台に乗せて聴診器を当てると、明らかな心雑音が聴取されました。
詳しく調べるため、ドクターはまず、胸部X線検査をおこないます。撮影した画像をみると、少し心臓が大きくなっている印象を受けました。
続けて、超音波検査をおこないます。胸部を毛刈りし、プローブを当てます。モニターに映し出された画像を見て、ドクターは思わずギョッとしました。
誰が見てもすぐに異常とわかるほど、左室の壁が肥厚していたのです。
検査の結果、この猫は肥大型心筋症(HCM)と診断されました。しかも、病気はかなり進行しており、治療選択肢も限られた状況でした。
ドクターは、「1ヶ月前に来院したときに病気に気づけていれば…」と悔しい思いをされたと言いますが…
今お話したのは、猫の診療技術を学ぶ重要性に気づいていただくための「たとえ話」です。しかし、このような診断の遅れは、決して他人事ではありません。
もし先生が、猫の循環器を専門的に学んだことがないのなら、遅かれ早かれ同じような経験をする可能性が高いと言えます。
なぜなら、猫は犬とは違い、心疾患でも約8割が「無徴候」で来院するからです。
犬の心疾患であれば、発咳や運動不耐、呼吸促迫など、明らかな臨床徴候があります。もし、高齢の小型犬で心雑音が聴取されれば、先生もすぐに心疾患を疑うはずです。
しかし猫の場合、このような明らかな症状がないケースがほとんどです。
発咳や心雑音など、わかりやすい症状があらわれたときには、すでに病気がかなり進行しており、治療が困難なケースも少なくありません。
また、潜在的な心筋症のある猫に麻酔やステロイド剤の投与、補液などをおこなうと、心不全を誘発するリスクがあることは、猫の診療をするなら必ず知っておくべきでしょう。
近年、猫の来院数が増えていますので、このような知識はとくに重要になりますが…
今回の特別なご案内は、とても重要です。
なぜなら、循環器のスペシャリストである日本獣医生命科学大学の鈴木亮平先生から、「猫の循環器診療」をわかりやすく学べるチャンスだから。
心エコーはもちろん、循環器における犬と猫の違い、診断と治療のポイントなど、「知っているだけ」で猫の心疾患を早期発見し、適切な治療ができる診療テクニックをたくさん教えていただきました。
猫の循環器を専門的に学んだことのない先生は必見の内容です。
獣医師の中には、「とにかく猫の診療が苦手…」という先生もいれば、循環器に特別の苦手意識をお持ちの先生もいらっしゃいます。
「猫」と「循環器」の2つが組み合わさると、どう診ればいいのかわからなくなるというお話もよく聞きます。本教材は、そのような先生のために作られた特別な教材です。
なぜなら、猫の循環器診療をわかりやすく学び、その知識をすぐに臨床に活かせるよう、「セブンルール」に沿って鈴木先生が解説してくれた教材だから。
これこそが、本教材の一番の特徴であり、これまでの鈴木先生の教材との大きな違いです。
いろいろと小難しい知識を頭に詰め込む必要はありません。猫の循環器は、まずこの「セブンルール」を覚えるだけでOKです。
これらのルールは、「知っているかどうか」だけで猫の診断をスムーズにできたり、治療の間違いを防げる大事なポイントです。
学んですぐ、明日の臨床から活かせる重要な知識です。
本教材のテーマは、「猫の循環器診療」です。
猫の循環器疾患の診断、治療のポイントを掘り下げて学べますが、犬と猫の違いを理解しやすいよう、大事なポイントは犬と比較しながら解説しています。
たとえば先生は、心疾患の治療で推奨される薬剤が、犬と猫で異なるのをご存じですか?
犬の僧帽弁疾患の治療と言えば、ピモベンダンを使用することがガイドラインでも推奨されています。きっと先生も、日々の臨床でピモベンダンを使う機会は多いのではないでしょうか。
では、猫の心筋症にも、ピモベンダンを使用すれば良い結果が得られるのでしょうか?
結論からお伝えすると、答えはNOです。
これは、83頭の肥大型心筋症(HCM)の猫に対し、「フロセミド+ピモベンダン」と「フロセミド単独群」の投与を比較した、2021年の論文で明らかにされています。
この論文では、「猫にピモベンダンを投与しても、まったく変わらなかった」と結論付けられています。つまり、猫の場合は、犬のような結果は得られにくいばかりか、副作用のリスクを高めるだけになる可能性が高いのです。
これは、今回学べる内容のほんの一例ですが、このように犬との違いが重要な知識は、犬の常識と比較しながらわかりやすく解説します。
肥大型心筋症(HCM)は、猫でもっともポピュラーな心疾患のひとつです。
海外の論文をみると、9歳以上の猫の29.4%がHCMに罹患するという研究報告もありますが、5歳未満の若齢で罹患するケースも多くみられます。
HCMが進行すると、肺水腫や血栓症などの重篤な合併症のリスクが高くなるため、早期発見、早期治療が何よりも重要です。
しかしこの病気が厄介なのは、罹患した猫の約8割が「無徴候」であること。心雑音すらないケースも多く、症状からHCMを疑うのが難しいため、見逃してしまうケースも少なくないのです。
でも実は、「ある手順」を踏んで検査すれば、無徴候のHCMも見逃さずに気づけるようになります。
これを知っているだけで、多くのHCM猫を救えるようになる、とても重要な知識です。
猫の心疾患を診断する上で、心エコーは必須です。
しかし、猫の心臓は犬に比べて小さく心拍数も早いため、「心エコーが難しい」という声もよく聞きます。プローブを当てようとすると嫌がったり、怒りだす猫が多いことも、難しさに拍車をかけているようです。
もしかすると先生も、猫の心エコーには苦手意識をお持ちかもしれませんが、心配はいりません。なぜなら、猫の心エコーが苦手な先生にオススメのプロトコルがあるから。
それは、心臓に対するポイントオブケア超音波検査である「FoCUS(フォーカス)」です。鈴木先生は、この方法を親しみを込め「ちょいあて心エコー」と呼んでいます。
ちょいあて心エコーのスゴいところは、短時間の検査にもかかわらず、心疾患の検出率がとても高いこと。通常のスクリーニング心エコーが10分~20分ほどかかるのに対し、ちょいあて心エコーは、わずか2分です。
まるで聴診器を当てるように気軽に実施できるエコー検査ですが、循環器専門医の心エコーに迫る高い検出率を誇ります。
ちょいあて心エコーを習得すれば、猫の心エコーはいっきにハードルが下がります。これから本格的に心エコーを学ぶなら、ちょいあて心エコーを覚えてからスクリーニング心エコーを習得するのがオススメです。
今回の動画セミナーでは、ちょいあて心エコーとスクリーニング心エコーの両方の習得を目指します。
習得の第一ステップは、座学です。座学では、犬と猫の心エコーの違いと6つの断面の描出、評価方法を解説します。
そして次の第二ステップは、本物の猫をモデルにした鈴木先生のライブオン解説です。鈴木先生の心エコーの手技を直接ご覧いただきながら、心エコーを習得していきます。
鈴木先生の心エコーを見ることで、プローブの当て方や断面の描出方法など、犬との違いもハッキリと理解できるでしょう。
他にも、鈴木先生から猫の循環器診療のポイントをたくさん学べる今回のプログラム。その一部をご紹介すると…
ちょいあて心エコーやスクリーニング心エコーをおこなうとき、猫を横臥位に固定する必要があります。
猫は犬のようにじっとしているのが苦手な子が多いため、精度の高いエコー画像を描出するには、保定にも少々コツが必要です。
たとえば、頭が動くと心臓の向きが変わってしまうため、頭を撫でてあげると狙った断面を描出しやすくなります。
今回は、教材ご購入者限定の特典として、「猫の保定のコツ」を鈴木先生が解説してくれた特典映像をプレゼントします。
ぜひ、動画本編と合わせて、猫の保定のコツも学んでください。
1.プローブの走査方法を解説した冊子
心疾患の診断に必須の超音波検査ですが、心臓の小さな猫の場合は、犬とは異なるプローブ走査が必要になります。慣れないうちは少し難しく感じるかもしれませんが、プローブの走査方法さえ覚えてしまえば、狙った断面をバシッと一発で出せるようになります。今回は、猫の心エコーのプローブ走査をまとめた冊子もプレゼントします。
2.講義で使用したレジュメ
収録された鈴木先生の講義がまとめられた「セミナーレジュメ」をお渡しいたします。映像をじっくり視聴するお時間がなければ、まず、この冊子から先に目をとおしてください。そして、気になる個所の映像から視聴していただければ、効率のよい学習が可能です。もちろん、復習用のテキストとしてもご活用いただけます。
循環器疾患は、主観的な判断に依存する場面が多く、日常診療で病態診断の際に苦慮する場面に多く遭遇します。なかでも、猫の循環器疾患は、犬と比べて心エコー図検査にコツが必要であり、日常診療で診断・治療に悩まされることが多くありました。
本教材では、様々な臨床症例の検査データを交えながら、病態診断・治療モニタリングに関する情報を大きく7つのポイントに分けてまとめられており、すぐに日常診療で実践できる内容もありました。とくに、各種疾患における特徴的な心エコー所見や評価のコツも多く含まれており、複数回繰り返して受講することで、典型的な画像を見慣れることもできました。さらに、心エコー図検査の手技やコツなどは、犬と猫では大きく違うイメージなので、講義形式だけでなく、実際に猫で描出している動画があり大変わかりやすかったです。
これから循環器診療を始める初学者の方だけでなく、ある程度経験を積まれた方にも有用な新しい知見が織り交ざった非常にわかりやすい内容だと思いました。ぜひご聴講してみてください。
2019年、日本獣医生命科学大学を卒業後、同大学大学院に進学し、犬や猫の循環器疾患の研究に取り組む。現在は都内の動物病院で診療業務に従事しつつ、日本獣医生命科学大学 大学院特別研究生として研究および同大学付属動物医療センター循環器科の診療補助を実施。
「もしかしたら、もう知っている内容ばかりかもしれない」「内容を理解できるか不安だ」「期待にそえる、教材なのか?」など、思われた場合もご安心ください。なぜなら、プログラムの内容に、ご納得できなければ返金させていただくからです。
60日間、じっくりと、ご覧いただき、先生の選択が正しかったかどうかをご判断ください。送料も、返金振込料も、弊社が負担させていただきます。
返金保証が付いている、獣医師向け教材なんて、ほとんどありません。これは、今回リリースする最新プログラムへの自信そのものです。
猫の来院数が増えている今、猫の診療を専門的に学ぶ獣医師も増えています。
本教材は、先生が学んだ知識をすぐに臨床で活かせるよう、「循環器診療のセブンルール」として鈴木先生がわかりやすくまとめてくれたものです。
心不全の猫に多くみられるパターンや、無徴候のHCMに気づく方法、安全なピモベンダンの使用法などは、「知っているかどうか?」だけで診療が変わる重要なポイントです。
また、これらのポイントは、犬の知識をそのまま当てはめようとした場合、誤診や見落とし、病気の悪化に繋がる恐れもあります。
だからこそ、鈴木先生に猫の循環器診療を学び、もっと自信を持って猫を診られるようになってほしいのです。
本教材が、いま以上に多くの猫を救う助けとなることをお約束します。
この価格(リリースキャンペーン価格)での販売は、6月15日まで。6月16日以降は、定価の50,578円に戻ります。 初回在庫がなくなる前にお申込みください。
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