教材リリース日:2021年6月

 

心疾患の見落としを限りなくゼロに近づける方法 なぜ、この3つを臨床に活かせると心エコーでは検出できない病態も手に取るようにわかるのか?心疾患の見落としを減らす方法が、ご自宅で学べます

こんな先生にオススメです

「心臓病はエコー検査でOK」
と過信していませんか?

先生もご存じのとおり、今や心臓病の診断に心エコー図検査は欠かせません。

だからこそ、多くの先生が画像の描出や評価のポイントを学び、日々の臨床に役立てようと努力されています。

しかし、心エコー図検査はあまりに多くの情報が得られるため、「心臓病はエコー検査をすれば大丈夫」と思っている先生も少なくありません。

すでにお気づきだと思いますが、これは大きな間違いです。

当然、エコー検査にもわかる情報とわからない情報があります。

これまで弊社がリリースした心エコー教材の講師の先生方も、「心エコーはあくまで検査方法の一つ。他の検査と組み合わせて判断することが重要である」と口を揃えます。

つまり、心疾患の見落としを限りなくゼロに近づけたいのなら、心エコーの弱点を正しく理解し、それを補う検査方法を組み合わせる必要がありますが…

他の検査でカバーすべき
心エコー3つの弱点とは?

弱点① 心原性肺水腫の直前を捉えられない

心原性肺水腫は、生死を左右する重篤な疾患です。

すぐに診察、治療を受けてもらえれば良いのですが、そう都合よく進められる患者ばかりとは限りません。そのため、心原性肺水腫になる直前を捉えることが重要になります。

では、どうやって心原性肺水腫の直前を捉えるのか?

そのポイントは、以下の2つです。

  1. 左心系(左房、左心耳)の重度拡大
  2. 肺静脈の明瞭な拡大

左心系の拡大や僧帽弁逆流の有無は、心エコーで検出できます。しかし、もう一つの心原性肺水腫直前の大事な所見である肺静脈拡大の検出は困難です。

つまり、心原性肺水腫の直前を捉えるには、心エコーではわからない「血管の太さ」を評価できる検査を組み合わせることが重要になります。

弱点② 心筋肥大の原因がわからない

日常診療でよく遭遇する心疾患の一つに、猫の肥大型心筋症(HCM)があります。

心エコーで左心室壁厚を計測し、6mmを超えている場合にHCMと診断されることは、先生もご存じのとおりです。

大事なポイントは、心筋肥大を検出した次のステップです。HCMを診断するには、まず、心筋が肥大する他の疾患を除外する必要があります。

たとえば、猫の心筋肥大の原因には、

  1. 高血圧症
  2. 大動脈弁狭窄症
  3. 成長ホルモン過剰症
  4. 心筋浸潤性疾患

などの疾患だけでなく、中~重度脱水および利尿薬投与も考えられます。

HCMの診断には、これらの鑑別が必要になりますが、心エコーだけで全ての疾患の鑑別はできません。

また、ひと言でHCMと言っても、特発性HCMと二次性心筋肥大(HCMフェノタイプ)は、まったく別の病態であり、治療方針も予後も異なります。

つまり、HCMの診断においても、他の検査と組み合わせることが重要と言え、これらは、犬の心筋肥大症例に関しても、同様の理解が必要となります。

弱点③ 治療が奏功しない場合の次の一手が打てない

たとえば、エコー検査とX線検査をメインに心疾患を診療する場合。

薬を投与しても効かなければ、もっと強い薬で様子をみる。それでも効果がなければ、もっと強い薬を投与するといった治療がおこなわれがちです。

このような治療をおこなった結果、本来はもっと長生きできたはずなのに薬の副作用で死亡してしまうなんてケースも少なくありません。

これは、高血圧症や不整脈など、真の原因を見落としていた結果と言えます。

複数の検査を組み合わせ、適切に鑑別疾患リストを作成していれば、万が一、治療が奏功しない場合にもすぐに次の一手が打てるはずです。

どうすれば解決できるのか?

心エコーだけではわからなかったり、検出できない病気があるのは、今ご説明したとおりです。

でも、心配することはありません。

なぜなら、エコー検査の弱点を補完する検査を組み合わせれば、疾患の見落としを減らし、もっと動物と飼い主さんのQOLを向上させられるから。

もう少し具体的に説明するなら、

などを組み合わせることが重要になるのです。

しかし、X線の基本読影や血圧測定を体系的にわかりやすく学べる機会はほとんどありませんよね。

そこで今回、循環器診療のスペシャリストである「獣医総合診療サポート」の佐藤先生を講師にお迎えし、X線検査、血圧測定、心電図検査を臨床現場で活かす方法を教えていただきました。

佐藤浩先生
佐藤浩先生
プロフィール
獣医師歴24年。北里大学獣医学科卒業後、複数の動物病院(二次診療施設含)に勤務し、研鑽を積む。豊富な知識と経験に裏付けられた確かなテクニックは、多くの獣医師に高く評価される。現在は、循環器のスペシャリストとして複数の病院と契約し、診療をおこなう傍ら、心疾患の診療スキル底上げのため各種学会での講演や、若い獣医師への指導にも注力している。

X線画像の基本読影から
心原性肺水腫の直前の捉え方まで解説

X線検査において、もっとも重要なこと。

それは、読影ではありません。基本読影を正しくおこなうための前段階である、「適切な撮影を実施すること」です。

言い換えるなら、読影に値する価値のあるX線画像を撮影することと言えます。

当たり前と思うかもしれませんが、これが意外に難しいポイントです。なぜなら、適切な撮影をおこなうには、

  1. 胸部のローテーションなし
  2. 頭頚部の適切なポジション
  3. フィルムの中央に心臓を配置
  4. 前肢を十分にけん引する
  5. 吸気時に撮影する (必要に応じて呼気時撮影)
  6. 必要に応じて右、左側面像 (腹背、背腹像)

など、これらの点を守る必要があるからです。

今回は、胸部X線検査の最重要ポイントとも言える、「正しいポジションで、キレイな画像を撮影するコツ」からわかりやすく解説します。

正しく読影するには、何よりもキレイな画像の撮影が重要です
“正しく読影するには、何よりもキレイな画像の撮影が重要です”

適切な撮影ができたら、ようやく基本読影です。

今回の教材では、評価すべき項目として、

など、鑑別診断リストの作成に役立つ読影のポイントを詳しくご説明しています。

この中でも特に重要なのが、肺炎なのか、肺水腫なのかの鑑別です。なぜなら、肺炎と肺水腫では、治療方針も予後もまったく異なるから。

たとえば、呼吸が荒い症例にX線検査をおこない、白く肺の不透過性の亢進が出たとき。

肺が白いのは、明らかな異常所見です。このとき、肺が白いところにだけ着目し、「これは何だろう?」と考えてしまう先生がたくさんいます。

しかし、肺炎と肺水腫は、白い肺だけでは鑑別できません。

その背景に映っている心臓や血管を正しく読影した上で、目の前の動物の所見と合わせて考えることが重要になります。

今回の教材では、肺炎と肺水腫の鑑別も掘り下げて詳しく解説します。

 
正確な読影のコツと、症例に使っていく方法をわかりやすくご説明します
“正確な読影のコツと、症例に使っていく方法をわかりやすくご説明します”
心原性肺水腫の直前を捉えるには?

先ほどもお話したとおり、心原性肺水腫は、生死を左右する重篤な病態です

エコー検査をすれば、心原性肺水腫の所見である左心系(左房、左心耳)の重度拡大をはじめ、僧帽弁逆流の有無も検出できます。

しかし、もう一つの大事な所見である肺静脈の拡大は、エコーでは検出困難なため、X線検査による検出が重要になるのです。

X線検査では、赤点の部分のように肺静脈の拡大がわかります
“X線検査では、矢印の部分のように肺静脈の拡大がわかります”

今回の教材では、まず、典型的な心原性肺水腫直前の所見を学びます。

それから、実際の症例をみながら、「どのように心原性肺水腫の直前を捉えるか」、具体的な方法を学んでいきます。

 
異常所見の方向性が、心原性肺水腫の直前を捉えるポイントです
“異常所見の方向性が、心原性肺水腫の直前を捉えるポイントです”

なぜ循環器の検診に
「血圧測定を組み込むのか?

近年、血圧測定の重要性はだいぶ知られるようになりました。

血圧測定の適応はさまざまですが、その中でも心筋肥大症例の鑑別は重要です。

たとえば、猫のHCMの診断において血圧測定は必須です。

また犬においても、特発性HCMはごくまれな疾患ですが、猫同様、血圧測定が必要となります。

なぜなら、特発性HCMなのか、二次性心筋肥大(HCMフェノタイプ)なのかは、血圧測定をしないとわからないから。

これらはまったく別の病態であり、治療方針も予後も大きく異なります。

つまり、血圧測定は心筋肥大症例の鑑別だけでなく、治療方針および予後を左右するとても重要な検査と言えますが…

血圧測定の落とし穴…

血圧測定は、他の専門的な検査とは違い、一次診療施設でも実施できます。

実際、積極的に血圧を測定する先生が増えていますが、多くの先生がやりがちなミスがあります。

それは、高血圧症と誤診すること。

以下は、ある症例の血圧測定の結果です。合計11回測定していますが、まずはその数値をご覧ください。

ある症例で、11回血圧測定した数値ですが…
“ある症例で、11回血圧測定した数値ですが…”

まず、1回目の計測では、上は200と高い数値が出ました。脈拍数も196とちょっと早めです。

そして、最初の6回の計測後、1回目の数値を捨てたのが以下になります。

2回目から6回目の計測結果ですが…
“2回目から6回目の計測結果ですが…”

2回目から6回目までの血圧の平均値は、「187」です。

もし、これがこの症例の本当の血圧なら、重度の高血圧になります。

しかし、血圧の数値を上から順にチェックすると、6回目(青数字)でストンと15も下がっているのがわかります。同じように、脈拍数も6回目の計測で30下がっています。

この数値の変化から考えるべきは、「この症例は、5回目と6回目の計測の間に交感神経のスイッチが切れたのではないか」ということです。

安定しはじめたことが予想されたため、引き続き血圧測定した結果が以下になります。

7回目以降で、大きく数値に変化があらわれました
“7回目以降で、大きく数値に変化があらわれました”

7回目から11回目までの血圧の平均値は、「158」です。

7回目以降は、最初の数値に比べると大きく下がっているのがわかります。この結果から、数字上は問題となる高血圧の域には達していないと判断できます。

この症例から学ぶべきは、血圧は安定するまで何回でも測定するのが重要ということ。

血圧は、動物の緊張や白衣性高血圧症などで大きく変わります。ですから、高血圧と誤診しないためには、血圧が安定するまでくり返し測定する必要があるのです。

最初のうちは変化がわかりにくいかもしれませんが、慣れてくると、「もう少し測った方が良いな」という感覚がつかめると佐藤先生は言います。

このように基本を忠実に守った血圧測定が、心エコーだけではわからない異常を検出し、心疾患の見落としを減らすのです。

獣医師の実力に差がつく
「心電図検査」

先生は、積極的に心電図検査をしていますか?

心電図検査は数ある検査の中でも、極端に実施頻度の低い検査です。心臓病の検診に心電図検査が入っていないことも少なくありません。

その一番大きな理由は、「手間がかかるから」ではないでしょうか。

心電図検査は、機械に入れて待っているだけの血液検査とは違い、どうしても計測、評価に時間がかかります。そのため、多くの先生が手間がかかるイメージをお持ちです。

たとえば、心臓病の疑いがある患者に対し、問診、身体検査とおこない、そのあとX線検査と血圧測定、心エコー図検査とやると、それだけで40分~50分ほどかかります。

そのうえ、心電図検査をおこなうのは手間を感じるのもわかります。

しかし、心電図検査が不整脈の検出にもっとも有効な検査なのは間違いありません。

「不整脈は聴診で確認すれば良いでしょ?」

もし、こう思われたとしたら、先生は見落としのリスクを抱えていると言えます。

なぜなら、聴診でリズム不整がないからと言って、不整脈がないとは限らないからです。

特に頻脈の領域に入っていてリズム不整がないときは、生命にかかわるタイプの不整脈がいくつかあります。

他にも、ふらつき、虚脱、失神、急激な運動耐性の低下など、不整脈に関連すると考えられる症状が存在する場合にも、心電図検査は必須です。

ここまで、エコー検査と組み合わせることで、心疾患の見落としを大きく減らせるX線検査、血圧測定、心電図検査のポイントをご説明しましたが…

丁寧な検査が病院経営の
安定につながります

「血圧測定や心電図検査が重要なのはわかるけど…」 「1頭の検査にそこまで時間はかけられない」

もし、こう思われたとしたら、考えてみてください。

私たち人間は、ふだん動悸や息切れもなく、マラソンを走れるくらい健康でも、年1回の健康診断では必ず血圧を測定し、心電図検査をおこないます。

その検査のおかげで、進行する前に病気を発見できることも少なくありません。

人間の医療がそうであるように、獣医療においても血圧測定や心電図検査が重要な検査であることは間違いありません。

だからこそ、心疾患の見落としを減らし、早期発見、早期治療するためにも、これらの検査を健康診断や循環器の検診に組み込んでいただきたいのです。

もちろん、1頭にかかる検査時間は長くなりますので、それだけ対応できる患者数は少なくなるかもしれません。

しかし、スピーディーな検査ばかり意識し、心疾患の検出率が低下したり、見落としが増えてしまったのでは元も子もないと思いませんか。

診断率や診断のスピードは、経験値に依存します。ふだんの健康診断から血圧測定や心電図検査をしていれば、それだけ短時間で正確な診断ができるようになります。

結果的にそれが飼い主さんの不安を解消することになり、動物と飼い主さんのQOLの向上、満足度の向上につながるのです。

経済的メリットもあります

地域の信頼が厚く、経営が安定した病院をみてみると、共通点があることに気づきます。

それは、1頭1頭の診察に時間をかけ、丁寧に検査をおこなっていることです。

結果的に、診察頭数は少なくなるかもしれません。しかし、それに反比例するように病院の経営は安定しています。

これは、飼い主さんの信頼が厚いこと。また、家族の一員である動物のためなら、どれだけお金を払ってでもちゃんとした検査をしてほしいと願う飼い主さんが集まっている証拠です。

この先、10年、20年と安定した病院経営を続けるには、このような飼い主さんを集めることが重要なのは言うまでもありません。

ぜひ先生も、佐藤先生からX線検査、血圧測定、心電図検査を臨床現場で活かす方法を学んでください。そうすれば…

収録された内容の一部をご紹介すると…

臨床で生かす!
循環器疾患における
X線・血圧・心電図検査


   
  

  
X線検査を臨床に活かす
心原性肺水腫の直前を捉える
血圧測定を臨床に活かす
心電図検査を臨床に活かす
X線検査、血圧測定、心電図検査を臨床で活かすコツがわかりやすく学べます
“X線検査、血圧測定、心電図検査を臨床で活かすコツがわかりやすく学べます”

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① セミナーで使用したレジュメ
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DVDに収録された佐藤先生の講義がまとめられた、セミナーレジュメをお渡しいたします。DVDをじっくり視聴するお時間がなければ、まず、この冊子から先に目をとおしてください。そして、気になる個所の映像から視聴していただければ、効率のよい学習が可能です。もちろん、復習用のテキストとしてもご活用いただけます。

② 佐藤先生が使用している「HCM診断確認シート」

もう一つの特典は、佐藤先生が使用しているHCMを診断するための確認シートです。今回の教材で学んだ内容を参考にしながら、診察時に活用していただくとHCMの見落としを防止することができます。

また継続してシートを使用することで予後観察にも活用できます。

ぜひ、日々の診療にお役立てください。

教材内訳
  • DVD3枚組(計379分)
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価格 販売価格 44,980円
(税込49,478円)
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