慢性腎臓病(CKD)は、とてもポピュラーな疾患です。
高齢の犬猫によくみられ、15歳以上の猫になると約30%がCKDであると言われています。ですから、先生も日常診療でCKDの症例に遭遇する機会が多いと思います。
では先生は、どのようにCKDを治療していますか?
ほとんどの獣医師は、ガイドラインに推奨される治療法や卒後に病院で教わった方法で治療しています。
しかし、思うようにCKDの進行を食い止められないケースが多いようです。
たとえば先生は、「慢性腎臓病の症例に、点滴と食事療法をする」といった治療をしたけれど、期待するような改善がみられなかった経験はありませんか?
他にも、数値を見ても治療効果が出ているのか、悪化しているのかわからず、どんな治療を続ければ良いのか悩んでしまう獣医師もたくさんいます。
先生もご存じのとおり、CKDにはIRISのガイドラインがあります。
ガイドラインには、ステージごとに推奨される治療法が書かれていますので、ガイドラインさえ読めば、なんとなくCKDがわかった気になりがちです。
また、CKDは数字でも定義されているため、腎機能低下(Cre、SDMAの上昇、±蛋白尿)を見つければ、それで正しく診断できたと思い込んでしまう獣医師もいます。
しかし、これは診断したつもり、治療したつもりになっているに過ぎません。
ガイドラインに推奨される治療をしているのに、CKDの進行を食い止められない一番の原因は、この「わかったつもり」にあります。
CKDは、お決まりの処置さえやっておけば良い病気ではありません。
CKDの進行を食い止めるうえで重要なのは、CKDの原因や病態を正しく理解した上で、診断、治療をおこなうこと。
そうすれば、治療効果が出ずに悩むケースは大幅に減り、動物と飼い主さんのQOLを向上させる治療ができるようになるのです。
では、CKDの犬猫に対し、具体的にどんな治療をすれば良いのか?
今回、最新のCKDの治療法を教えてくれる講師は、日本獣医生命科学大学の宮川先生です。
先生もご存じのとおり、CKDの治療目的は、「進行を遅らせること」です。
そのために、脱水の管理はCKDのステージを問わず、とても重要になります。
どれくらい重要かというと、「CKDの治療で重要なものを一つだけ選ぶとしたら?」という究極の質問に対し、宮川先生が水分摂取がもっとも重要であると回答されるほどです。
特に、尿濃縮能が低下している症例や、結石が原因の症例においては、水分摂取量は十分に注意しなくてはなりません。
水分摂取のもっとも良い方法は、ウエットフードを与えることです。しかし、CKDの症例の中には食欲がなく、水すらあまり飲まない動物もいます。
このような場合…
多くの先生が、こう考えます。
実際、CKDになると、皮下補液をおこなうケースがたくさんあります。
しかし結論から申し上げると、皮下補液では脱水は改善されません。なぜなら、皮下補液は水分補給ではないから。
つまり、皮下補液で与えられる水は、フードから得られる水と性質が異なるのです。
一般的に、皮下補液には乳酸加リンゲル液が使われます。
実は、この乳酸加リンゲル液には、細胞外液にしか分布しない特徴があります。
脱水とは、細胞内液と細胞外液の両方が減少している状態ですので、脱水を改善するには細胞外液だけでなく、細胞内液も補充する必要があります。
しかし、皮下補液では細胞外液しか補充されないため、脱水は改善しないのです。
つまり、どれだけたくさん皮下補液をしたところで細胞内には入らず、尿として捨てられるだけ。それどころか…
皮下補液で細胞外液を増加させると、腎血流量が改善します。
その結果、糸球体濾過量が改善すれば尿毒症が軽減され、食欲が回復します。すると、フードから水分摂取できますので、細胞内液も回復していきます。
これが、脱水に対して皮下補液が有効なパターンです。
しかし、腎機能の低下が進み、皮下補液をしても糸球体濾過量が改善しない場合。
当然、尿毒症は改善しませんので、食用増進作用のある薬剤を使うなど、他の治療選択肢を考えなくてはなりません。
この場合、脱水が改善しないからと皮下補液を増やしても、尿毒症だけが悪化し続けてしまい、結果的に脱水も悪化してしまいます。
つまり、皮下補液をしても食欲が回復しない場合は、皮下補液の量を増やしたとしても意味がないのです。
そのため、CKDだからとりあえず皮下補液をするのではなく、腎機能の低下が原因で食欲がないのか、それとも違う原因なのかを正しく見極め、皮下補液をすることが重要になります。
CKDと言えば食事療法というくらい、多くの場面で使われています。
きっと先生も、CKDの犬猫を治療するとき、まず食事療法を考えると思います。
それくらいポピュラーな治療法ですが、先生は、食事療法の目的をご存じですか?
食事療法の目的は、大きく分けるとリンの制限(高リン血症の抑制)と蛋白の制限(尿毒症の抑制)の2つです。
では、CKDの症例には、とりあえず食事療法をすれば良いのでしょうか?
実は、食事療法には、知っておくべき大きな問題が2つあります。
食事療法は蛋白の制限が目的のため、当然、蛋白は少なめです。
そのため、CKDの療法食は、筋肉量を低下させる問題が指摘されています。そのため、早期から療法食を与えると、どんどん痩せてしまうのです。
ここに、大きなリスクがあります。
それは、痩せている症例ほど生存期間が短いこと。
ある研究では、痩せている症例と肥満の症例、適正体重の症例の生存期間を比較したところ、肥満と適正体重は、痩せている症例の4倍以上も生存期間が長いという結果が出ました。
肥満は良いことではありません。しかし、CKDの症例で筋肉量を低下させることは、生存期間を短くするリスクがあるのを知っておくべきです。
リンを制限しているフードには、一つの問題点があります。
それは、高カルシウム血症になりやすいこと。
特に、閉塞性腎症など結石を持っている症例への腎臓病療法食の給与は注意しなくてはなりません。
なぜなら、猫の2/26(8%)で高イオン化カルシウム血症を示し、食事療法の中止で正常化したという研究結果があるからです。
高イオン化カルシウム血症は、CKD進行リスクになります。
とりあえずで与えた療法食でCKDが進行したのでは、治療の意味がありませんよね。食事療法も正しく理解し、安全におこなうことが重要です。
慢性腎臓病と言えば、とりあえず点滴と食事療法という治療を選択されがちです。
しかし、ここまでご説明したように、点滴と食事療法が逆に脱水やCKDを進行させてしまうケースもあることは知っておかなくてはなりません。
CKDの原因や病態を正しく理解すれば
「なぜ、この薬を飲まなくてはいけないのか?」
「なぜ、普通のご飯を与えてはいけないのか?」
「見た目は変わらないけど、治療効果は出ているのか?」
「なぜ、治療(または薬)をやめたらいけないのか?」
など、飼い主さんに聞かれがちな質問にも自信を持って答えられるようになります。
今回の教材は、慢性腎臓病の基本はもちろん、診断と治療のポイントまで、宮川先生のわかりやすい解説で学べます。
今回の内容をマスターすれば、推奨されている治療が奏功しない理由や、数字の正しい読み方、患者の身体の中で何が起こっているのかなど、手に取るようにわかるはずです。
これらは、学校や専門書では学べない、とても価値のあるノウハウです。
罹患率が高く、遭遇する機会が多い慢性腎臓病だからこそ、先生も安心して治療できる最新のノウハウにアップデートしませんか?
そうすれば…
1.セミナーで使用したレジュメ
教材に収録された宮川先生の講義がまとめられた、レジュメ冊子をお渡しいたします。教材をじっくり視聴するお時間がなければ、まず、この冊子から先に目をとおしてください。そして、気になる個所の映像から視聴していただければ、効率のよい学習が可能です。もちろん、復習用のテキストとしてもご活用いただけます。
2.飼い主さんと共有する慢性腎臓病の説明シート
Section3で紹介している飼い主さんへの説明シートです。
CKDの治療目的は、進行を遅らせることです。治療目標を決め、適切な治療をしていくためにも、飼い主さんの理解と協力が必要になります。
CKD患者と飼い主さんのQOLを上げるためにぜひお役立てください。
PDFデータ(ダウンロード形式)でお渡しします。
犬と猫の一般診療にてたびたび遭遇する慢性腎臓病ですが、完治は難しいからといってワンパターンな対応になってはいないでしょうか。
その病態はさまざまですが、腎生検を行うことが一般臨床では現実的に困難な中、慢性腎臓病の病態生理を元にどう考え、どのような検査を行えば正確な診断ができるのか、そして合理的な治療方法はどのように選択すればいいのか、これらを最新のエビデンスと実際の臨床に結び付けて解説しているのがこの映像教材です。
講師の日本獣医生命科学大学 宮川優一先生は腎臓病の研究と共に、同大学獣医医療センターにて腎臓科担当として普段から数多くの臨床症例を診療されています。そして世界中の文献を精査し、さらにご自身の研究データと診療経験を基に独自の鋭い視線にて慢性腎臓病の最適な診療方法について探求されています。
この教材をご覧になればお分かりになると思いますが、宮川先生のしっかりした口調と画面上にペンで書き込みながらの説明、そしてよくまとめられた図表やグラフは難解なこの疾患に対する理解をさらに深めてくれます。
治療に関しては冒頭でお伝えした通り宮川先生は日常的に数多くの症例とそのご家族に接していらっしゃるため、私たち一般臨床獣医師に近いスタンスでの輸液、薬剤、食餌や水分摂取などの解説があり、ご家族に納得いただける内容が豊富に含まれています。
インターネットの普及によってご家族が多くの情報を持つ昨今、腎臓病に関していきなりご家族から新しい診断マーカーやIRISのステージングについて質問されることもあります。
完治が難しい疾患でもあるためインフォームドコンセントがより重要であり、私たち臨床獣医師がこの疾患に関する正確なきちんと整理された知識を持つことが求められます。
そのためにも宮川先生が集められた最新の正確なエビデンス、そしてご自身の臨床経験と考えを基に作られたこの映像教材は最適です。ぜひ慢性腎臓病の理解を深め、明日からの診療に役立てて頂きたいと思います。
葉月会 共同代表取締役 佐藤 昭司先生
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