
From:権田
日付:2026年5月22日12:00
講師紹介
みやがわゆういち
Profile
日本獣医畜産大学獣医学部獣医学科卒業後、2010年に日本獣医生命科学大学大学院で、犬および猫の慢性腎臓病の早期診断の研究で博士(獣医学)号を取得。2011年より、日本獣医生命科学大学 獣医高度医療学教室助教に着任。同時に本学付属動物医療センターで腎臓科、循環器科を担当する。現在は、日本獣医生命科学大学 獣医内科学研究室第二 准教授を務める。2026年4月から付属動物医療センター病院長を担当。
高齢の犬猫を診る機会が増えている今、腎臓病診療の重要性はますます高まっています。
先生も日々、血液検査を通じてクレアチニン(Cre)やBUN、さらにはSDMAといったバイオマーカーを丁寧に確認されていることでしょう。
しかし、これだけのデータが揃っていてもなお、診察室でふと判断に迷う場面があるのではないでしょうか。
例えば、Creは正常範囲内に収まっている。しかし、その子の年齢やBCS(ボディコンディションスコア)の低下を考慮したとき、本当に「異常なし」と断言してよいのか。あるいは、明らかな症状はないものの、将来的なリスクをご家族にどこまで伝えておくべきか。
もし、数値だけを見て早期から腎臓病を強く疑えば、ご家族に不要な不安を与えてしまうかもしれません。その一方で、慎重になりすぎて見逃してしまうことも、獣医師として避けたいところです。
見逃しも、過剰診断も避けたい。数値が揃ってもなお、「この子をどう評価すべきか」という判断が残る点こそが、腎機能評価の真の難しさと言えるかもしれません。
では、こうした症例に対して、どうすれば納得感のある評価ができるのでしょうか。
診断において生じる評価の迷い。その正体は、決して先生の経験不足ではありません。
先生はすでに、CreやBUN、SDMAといった指標の特性も、IRISガイドラインの基本的な考え方も熟知されていることでしょう。それでも評価に迷いが残る原因は、どうしても検査数値を「単体」で見てしまいやすいからです。
特に腎臓病は、脱水、食事、体格、あるいは筋肉量といった「腎外性要因」によって数値が動くことも少なくありません。先生も、再検査の結果が前回の数値と大きく異なり、かえって判断に迷ってしまった経験があるのではないでしょうか。
つまり、問題の本質は「どの検査を知っているか」という知識量ではありません。「数値をどのような背景を踏まえて解釈するか」にあります。
腎臓病は、早い段階で適切な評価ができれば、その後の食事管理や治療方針の精度を高めやすい疾患です。たとえ高齢であっても、病態を正しくコントロールすることで、高いQOLを維持できる可能性があります。
だからこそ、検査数値を単なるデータで終わらせず、確かな臨床判断へと繋げる思考プロセスが重要になるのです。
先生の診断力向上に必要なのは、単に新しい検査を増やすことだけではありません。
大切なのは、Cre・BUN・SDMAといった個々の数値を、体格、年齢、尿検査、血圧、画像所見と結びつけながら、ひとつの病態として捉えることです。
そして、「この症例において、今何を優先すべきか」を論理的に整理できるようになること。本教材が提示するのは、まさにそのための臨床的な視点です。
正常値だから安心する。異常値だからすぐに断定する。そうした二択の評価ではなく、潜在的な見逃しを防ぎながら、同時に不要な過剰診断も避けていく。
その上で、「なぜ今は確定診断を保留するのか」「なぜこの段階から早期管理を開始するべきなのか」を、ご家族に対して一貫した言葉で説明できるようになります。
今回、宮川先生が教えてくれるのは、迷いが生じやすい症例に対して、診断と説明の両方で一貫した判断軸を持つための「腎機能評価術」です。

●6月16日(月)12:00 にお申し込み専用ページをご案内しますので、
今しばらくお待ちください。