これからの時代に重要なテーマである「伴侶動物の高齢化」。
先生もこの変化に対応するため、病院をあげて取り組みを進めているはずです。
私たちもこのテーマと向き合うため、これまでに難治性の慢性疾患の治療法や緩和ケアなど、伴侶動物の高齢化時代に求められる、さまざまな技術を先生にご紹介してきました。
今からお伝えする内容も、このテーマに当てはまるものですが、治療技術ではありません。
しかし、どの病院、どの獣医師の先生、どの動物、どの飼い主さんも絶対に避けられない、とても重要な問題であるのは間違いありません。
今回、先生にお伝えしたいのは「伴侶動物の看取り」です。
先生は看取りについて、どうお考えですか?
獣医師の先生の仕事は、動物のケガや病気を治療することです。しかし、生命ある生き物と向き合う以上、そこには必ず「死の問題」がつきまといます。
それが寿命によるものなのか、または病気や事故によるものなのかは患者により異なります。
しかし、いずれ訪れる動物の死が避けられないものなら、獣医師は死との付き合いから逃れられない職業だと言えるでしょう。
では先生は今、飼い主さんの納得する看取りができていますか?
「看取りには悩んでいない」「看取りにはストレスはない」と思われるのなら、この先をお読みいただく必要はありません。
もし少しでも不安を感じているのなら、今からお伝えすることはとても重要です。
動物病院のトラブルが近年増えているのは、先生もご存じのとおりです。
ひと昔前も動物が亡くなったことや不適切な治療によるトラブルはありましたが、近年は弁護士に依頼して慰謝料を請求するケースが増えています。
さらに自分の言い分が通らない場合には、インターネットを使って病院の悪評を広める飼い主さんも少なくありません。
このような訴訟、悪評の拡散などの背景には、飼い主さんの権利意識の高まりやインターネットによる不正確な知識などがあると言われていますが…
看取りは、まもなく最期のときを迎える患者への医療行為です。
もし、
「先生に看取ってもらえて、この子も喜んでます」
「辛いけど、覚悟ができていたので見送ってあげられました」
このように言われる看取りができたなら、飼い主さんとトラブルになる可能性は「ほぼゼロ」と言えると思います。
逆に、飼い主さんを怒らせてしまったり、飼い主さんの信頼を失うような看取りをしてしまうと、訴訟を起こされたり、悪評を拡散される恐れもないとは言えません。
このような問題があるのですから、10年、20年と長期的な病院経営を考えたとき、適切な看取りの技術を身につけていないのは、リスクが高すぎると思いませんか?
まるで、いつ爆発するかもわからない爆弾を抱えたまま病院経営をするようなものです。
「悲しい」「辛い」という負のイメージの強い看取りを、飼い主さんの納得する最期を迎えるものに変えるのは、重要な仕事のひとつです。
飼い主さんのその後の人生においても、プラスに寄与することはもちろん「最期まで寄り添ってくれる先生がいる病院」として、ますます病院の評判も良くなるでしょう。
では、絶対に避けられない問題でありながら、対応が本当に難しい「看取り」という問題に対し、どう取り組んでいけば良いのか?
今回、その具体的な方法を教えてくれるのが、大阪府にある「となりの獣医さん」の院長を務める伊藤先生です。
看取りという言葉は、死を強く連想させます。
そのため、「治療が奏功しない」「もう治療ができない」段階になって、初めておこなうものと捉えられがちです。
しかし、1,500件以上の看取りをおこなった伊藤先生は「患者が、まだ健康なうちからスタートさせるべきである」と言います。
なぜなら、患者の状況が悪くなってからでは飼い主さんが冷静な判断をできず、トラブルに発展するリスクが高くなるから。
そのため獣医師の先生は、患者が健康なうちに飼い主さんの看取りに対する考え方や希望を聞き出し、早期から時間をかけて看取りの土台を作る作業をおこなう必要があります。
とは言え「まだ健康なうちに看取りの話題は振りにくい」と思うかもしれません。
でも、ご安心ください。
この問題は、普段のコミュニケーションを少し工夫すれば簡単にクリアできます。飼い主さんとの具体的な会話例を、少し見てみましょう。
まずは、以下の2つの会話例を見てください。
◎会話例1(はじめて来院された飼い主さんとの会話)
◎会話例2(検診などで来院された飼い主さんとの会話)
今の会話の中に、早期からの看取りを成功させるポイントが2つあります。
具体的にご説明しましょう。
「最期の最期まで、僕なりに精一杯やらせていただきます」
早期の看取りの最大のポイントが、決意表明とも言えるこの言葉。
飼い主さんが一番傷つくのは、獣医師の先生に見放されることです。そのため、看取る医療者側が「最期まで絶対に飼い主さんを見放さない」、その意思表示をすることが重要になります。
また、この意思表示は、いざ患者の状況が悪くなってから伝えたのでは意味がありません。
早期に伝えるからこそ、飼い主さんの心に響く言葉であると言えます。
患者がまだ健康なうちに、獣医師の先生から「私が最期を看取ります」という決意を伝えることで、飼い主さんは先生を信頼し、看取りをする上で重要な情報を本音で話してくれるのです。
看取りをするには、飼い主さんの「死生観を知る」必要があります。
しかし、患者が深刻な病気でもない限り、普段の会話ではなかなか聞き出せません。そのため、獣医師の先生が少し工夫して聞き出すことが求められます。
先ほどの会話では、飼い主さんの知り合いの犬が亡くなった話をキッカケに「最期のときは、誰にでも必ずくること」「飼い主さんは、どのような最期を望んでいるのか」と、ステップを踏みながら死生観を確認しています。
会話例でご紹介した「他の犬が亡くなったタイミング」は、飼い主さんの死生観を聞き出すタイミングのひとつに過ぎません。
患者がまだ健康で飼い主さんが冷静であり、「あのワンちゃん」という第三者の死を挟んでいるため、違和感なく切りだすことができるわかりやすい例です。
患者が健康なときの会話の中にも、キッカケとなるタイミングはたくさんあります。ですから、獣医師の先生はその機会を逃さないようにしなくてはなりません。
ここまでご紹介したのは、病期の早期における看取りケアのポイントの一例ですが、他にも、
など、飼い主さんの心理負荷が変わるステップごとに看取りケアを学ぶ必要があります。
なぜなら、飼い主さんを納得させ、心から感謝される看取りをおこなうには、それぞれの時期ごとの適切な対応が求められるからです。
これらの対応は、「知っているかどうか」で飼い主さんとのトラブルを避けられる上、結果に天と地ほどの差が出る重要なポイントです。
今回は早期の看取りケアから、看取り後の飼い主さんの心理ケアまで、伊藤先生の実体験を絡めながらわかりやすく学べます。
看取りが辛いのは、飼い主さんだけではありません。
獣医師と動物看護師のストレス調査実施報告(2016 大阪商業大学レポート)によると、海外の獣医師の自殺率は高いそうです。
ただでさえ、労働時間の長さ、作業量の多さや複雑さ、職場の人間関係、技能や知識の維持向上、患者の命に対する責任、飼い主さんからの期待、予想外の診療結果、ケガや感染症の危険性など、ストレスは数多くあります。
その上で、終末期の診療過程において、飼い主さんに悪い知らせの告知をおこなう際のストレスは大きなものを感じているはずです。
実際、伊藤先生も在宅看取りを始めた頃に、自らかなり追い詰められた経験があり、重度のうつ病になってしまったと言います。
また先生と共に働く看護師さんも、当然同じようにストレスを感じているでしょう。
看護師さんにかかる心理的ストレスは、モチベーションの低下、パフォーマンスの低下、さらには離職に繋がる恐れもあります。
動物が大好きでキラキラした表情で働いていた看護師さんが、辛すぎる看取りの経験により潰れてしまうこともめずらしい話ではありません。
ケアする医療者側がストレスにやられてしまったのでは、本末転倒。とても飼い主さんの満足する看取りは続けられません。
つまり看取りを成功させるには、患者の治療と並行して飼い主さんのケア、看護師のケア、そして先生ご自身のケアをすべて同時におこなう必要があるのです。
これも、看取りを難しくさせている原因のひとつと言えますが…
今回、伊藤先生に教わったのは、飼い主さんの対応だけではありません。
彼自身の看取りで追い詰められた経験、心が潰されそうになった経験をもとに生み出した、「看取りに特化した医療従事者のメンタルケア」もたくさん教えていただきました。
たとえば、
など、看取りにおけるストレスを大幅に軽減させる方法が学べます。
自らの心理ケアを正しくおこなえることが、看取りをする獣医師の先生の最低条件と言えます。
最初にもお話したとおり、看取りは決して避けられない問題です。
とは言え、看取りは学会などではタブー視されている部分もあるため、「トラブルにならない、飼い主さんが納得する看取り」を積極的に議論する機会はほとんどありません。
ですが伴侶動物の高齢化が問題となる今、看取りを必要とする飼い主さんの数は、右肩上がりでどんどん増え続けることが予想されます。
このような時代、適切な看取りの方法を知らずに病院経営を続けるのは、あまりに無防備だと思いませんか?
「先生に看取ってもらえて、この子も喜んでいます」
「辛いけど、覚悟ができていたので見送ってあげられました」
「先生が看てくれるなら、最期の心配をしなくていいですね」
など、飼い主さんにこう言ってもらえるかは、適切な方法を「知っているかどうか」で決まります。
つまり「看取りのリスク」は、先生ご自身の手でコントロールすることが可能なのです。
ぜひ先生も今回の教材で「伴侶動物の看取りとメンタルケア」を学び、飼い主さんに信頼され、末永く地域に愛される病院づくりに役立ててください。
「すべての獣医師と動物看護師に
一生に一度は視聴していただきたい内容」
獣医師になって間もないころ、症例発表や雑誌などを読み、「症例は〇〇日後に斃死」という文字を目にして、いつも違和感を覚えていました。どのように亡くなったのだろうか、その間にどんなやり取りがあったのだろうか、辛い時間が長かったのだろうか…。
もちろん、それはその発表や文献の主たる話題ではないのでそこに書かれないのは当然なのですが、いつからか、そのような疑問も抱かないことが当たり前になり、純粋に学問としての獣医学、一学徒としての獣医師という世界に浸かり、競争の中で切磋琢磨していくことに夢中になって、獣医師としての仕事の充実にばかり目が向いてしまっていたような気がしています。
しかし、自分の仕事への充実感とは裏腹に、飼い主さんの満足が十分に得られていないという壁にあたることが多くなりました。「抗がん剤を一生懸命がんばって、精一杯長生きしましたね」という話や、「点滴を続けて、ごはんも上手に食べさせてもらえたおかげで長生きできましたね」という話のあとに、振り返ると飼い主さんが疲れ切っていたり、これで本当に良かったのかと後悔していたりという場面に出会うことが多くなり、私の描いていたゴール≠飼い主さんの描いていたゴールだったことに愕然とし、獣医師という仕事にまでも疑問を感じてしまうことがありました。
そんな中で、看取りを多く経験されている伊藤正幸先生に出会い、「緩和」や「看取り」「そこに至るまでのケア」、そして「それを担う獣医師やスタッフのケア」までたくさんのことを教えていただきました。今回、伊藤先生が長年培われた看取りに関する知見やお考えをまとめて映像教材として世に出されることを大変うれしく思います。
「看取り」という場面を想定してお話をしなくてはいけない場面は、獣医師や動物看護師であれば病院の規模や経験を問わず、すべての方にあるものだと思います。この映像教材で伊藤先生がお話しされている内容は、すべての獣医師と動物看護師に一生に一度は視聴していただきたい内容と思っております。たくさんの方が映像教材をご覧になって、亡くなる子に輝きを与えてあげられる獣医師・動物看護師、悲嘆(Grief)から喪(Mourning)へ思いを馳せられる獣医師・動物看護師が増えてくれることを切に願っております。
山口 潤 先生
希望の丘どうぶつ病院 院長
DVDに収録された伊藤先生の講義がまとめられた、セミナーレジュメをお渡しいたします。DVDをじっくり視聴するお時間がなければ、まず、この冊子から先に目をとおしてください。そして、気になる個所の映像から視聴していただければ、効率のよい学習が可能です。もちろん、復習用のテキストとしてもご活用いただけます。
先生ご自身と看護師の心理状態を正しく把握するのに役立つ「心理ケアマークシート」もプレゼントします。(ダウンロード版)一見すると、それほどストレスを感じていないように見えても、実は大きなストレスをかかえているケースも多々あります。このマークシートを用いて客観的な評価をおこなうことで、いつ、どのようなケアが必要なのか、適切に対処できるはずです。
「もしかしたら、もう、知っている内容ばかりかもしれない…」「内容を理解できるか不安だ…」「期待にそえる、教材なのか?」など、こう思われた場合もご安心ください。
なぜなら、DVD教材の内容にご納得できなければ返金させていただくからです。60日間、じっくりとDVDをご覧いただき、先生の選択が正しかったかどうかをご判断ください。
送料も、返金振込料も、弊社が負担させていただきます。返金保証が付いている、獣医師向け教材なんて、ほとんどありません。これは、今回リリースするDVD教材への自信そのものです。
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つまり先生は、ご自身の選択が正しかったか、60日間かけてじっくりと判断できます。(ネット配信版は対象外)
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ただし、初回在庫(DVD版)には限りがあるのでご注意ください。この価格(リリースキャンペーン価格)での販売は、9月15日までとなります。9月16日以降は、定価の39,980円に戻ります。
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