先生もご存じのとおり、安全な麻酔管理には患者の状態を把握することが何よりも重要です。
しかし、従来の小動物における獣医学では、「何を観察すればいいのか?」「どのように観察すればいいのか?」という具体的な指標がありませんでした。
この問題を解決するため、2012年に日本獣医麻酔外科学会 麻酔・疼痛管理専門部会により「犬および猫の臨床例に安全な全身麻酔をおこなうためのモニタリング指針」が作成されました。
このモニタリング指針には、安全に麻酔管理をおこなう指針として、五感や循環、酸素化など、麻酔専門医だけでなくホームドクターも利用できる管理の方向性が示されています。
麻酔管理中の死亡事故を未然に防ぐため、先生も参考にされているのではないでしょうか。
しかし、「安全な麻酔薬も麻酔法も存在しない、存在するのは安全な麻酔科医だけ」と言われていることからもわかるとおり、より安全な麻酔管理をおこなうには、先生ご自身があらゆるトラブルに対応できる知識を身につけることが、もっとも重要になるのですが…
従来の麻酔モニタリングは、別々に評価するのが一般的でした。たとえば、心拍数なら心電図か聴診器で、血圧なら血圧計か触診でというように、それぞれ個別に評価されていたのです。
しかし、心拍数や血圧はお互いに連動しているため、別々に評価する方法は適切とは言えません。患者の異常をいち早く見抜くためには、装置を用いて同時にモニタリングする必要があります。
こうすることで、患者を安定させるにはどの麻酔薬や強心薬を使用すればよいのかが判断でき、さらには輸液剤の投与量などをより精緻におこなえるようになるのですが…
もし麻酔管理中、カプノグラムの値や波形の異常が見られたとき、先生は冷静に対処できるでしょうか?
ひょっとしたら、突然のトラブルに驚くかもしれません。でも、数値や波形の異常を示す原因やその対処法を詳しく知っていれば慌てずに対応でき、トラブルを回避できるのではないでしょうか?
「起こりうるトラブルを事前に把握しているかどうか」、また、「万が一のトラブルにも冷静に対処する方法を知っているかどうか」。これが、より安全に麻酔管理をおこなう重要なポイントと言えます。
そこで今回は、麻酔モニタリング時に起こりうるトラブルとその解決法をわかりやすくまとめた、「麻酔モニタリングのトラブルシューティング」を学べる教材をご用意しました。
たとえば、次のようなトラブルが起きても、より安全に解決できるようになります。
近年、おいしいペットフードやおやつが増えたことにより、肥満の犬猫が増えています。
このような肥満患者に麻酔をおこなうとき、多くの先生を悩ませる問題があります。それは「呼吸管理」です。
犬や猫はもちろん、他の動物も、生きていくためには酸素が必要です。そのため、麻酔管理においても当然、酸素の管理はとても重要なものになります。
酸素の管理は、五感であれば可視粘膜の観察、モニター装置であればSpO2値の評価でおこなうのが一般的です。しかし、モニターによるSpO2の評価には、獣医師の先生がよく遭遇するトラブルがあります。
たとえば、太っている小型犬や猫を麻酔管理していたとき、急激にSpO2の値が低下したという経験をしたことはありませんか? これは、実際によくある麻酔導入時のトラブルなのですが、なぜ、このようなことが起こるのでしょうか。
答えは、肥満患者は肺の中の酸素や二酸化炭素など、気体の量である「機能的残気量が少ない」から。そのため、肥満でない患者に比べるとすぐにチアノーゼになる傾向があるのです。
詳しくはこのグラフをご覧ください。
これは人医療のものですが、麻酔導入後に酸素を100%付加した状態に筋弛緩薬を投与し、呼吸を止めたあと、どのくらいの時間で酸素飽和度が90%を切ってしまうのかを示したものです。
右端まで伸びている一番大きな弧を描いている曲線は、理想的な体型の患者のものです。この場合は、酸素が90%を切るまでに約8分余裕があります。グラフからも、非常に長い時間SpO2が維持されているのがわかります。
それに対し、一番左側にある肥満患者の曲線は、酸素をしっかりと吸っていたとしても急激に下がってしまい、わずか2分半ほどでSpO2が90%を下回り低酸素血症になっています。
このように肥満患者と正常な体型の患者では、そもそもの機能的残気量の差によって肺の中に溜め込んでおける気体の量が大きく違うのですが…
麻酔管理において、「機能的残気量」はとても重要な概念です。
機能的残気量は、「安静呼気の最後に肺に残っている空気の量」と定義されます。この機能的残気量の低下は無気肺を増加させるため、結果的に肺の中の気体がなくなり低酸素血症を起こしやすくさせます。
以下のグラフは、実際にカプノメータを計測したときの吸気と呼気の肺の中に残っている気体の量を示したものです。
曲線の振り幅が一番大きいところが、大きく息を吸い込んだときと吐いたときです。機能的残気量は、通常安静時に息を吐いたときに肺の中に残っている空気の量ということになります。
肥満患者の場合には、脂肪や呼吸努力の弱さから安静時の呼吸の波が、このグラフよりも小さくなることがわかっています。
それにより、小さくなった機能的残気量が、麻酔導入時のチアノーゼに繋がっているのです。
そのため、麻酔導入時に肥満患者のSpO2値が急激に下がりはじめた場合は、呼気終末陽圧(PEEP)と呼ばれる方法や深呼吸(VCM)など、無気肺となった領域を再疎通させる手技を用いることで、より安全に麻酔管理をおこなう必要があるのです。
近年、短頭種の人気が上昇しています。それに伴い来院機会も多くなっていると思いますが、先生は短頭種の麻酔管理に不安はありませんか?
短頭種は、他の犬種と比べて気道が狭いため、麻酔中に上部気道狭窄や閉塞を起こしSpO2値が低下することがあります。
この場合、気道を確保していれば問題なく酸素を供給できますが、もっとも対応が難しいのが麻酔後、または抜管後です。
麻酔は回復期(抜管後0~3時間)の死亡率がもっとも高いと報告されています。これは、麻酔回復期にはすべてを管理していた麻酔モニターから簡易的なモニターの使用へ移るため、呼吸系、循環器系の管理がルーズになり、一気にトラブルが起こりやすくなるためです。
そのため、短頭種をより安全に麻酔管理するには、麻酔中はもちろん、回復期の気道の確保も十分に注意することが大切になります。
では、どうすれば回復期の短頭種の気道を確保できるのでしょうか?
手術終了のとき。通常は、イソフルランやセボフルランなどの吸入麻酔を停止しますよね。回復期の短頭種の気道を確保したいとき、ここで「あること」をおこないます。
それは、ごく少量のメデトミジン(1μg/kg IV)を1~3分かけ、ゆっくりと投与すること。
なぜ、低用量のメデトミジンを投与するのか?
答えは、「吸入麻酔をしっかりと排出させるため」です。
低用量のメデトミジンを投与することで、鎮静作用が加わります。そのため、抜管の時間は5~10分ほど遅くなるかもしれませんが、その過程で呼気中のイソフルランやセボフルランを確実にすべて排出できるようになります。
つまり、麻酔モニター上では呼気中の麻酔薬の濃度は、ほぼ0%に近くなるのですが…
たとえば、手術後に麻酔モニターを見たとき。
呼気中のイソフルランが1.3%でやっていたものが、1.0%→0.7%→0.5%と麻酔回復に向けて下がってきたとします。このとき、0.5%くらいで短頭種の抜管をおこなうと、ほぼ間違いなく呼吸が苦しい状況に陥ってしまいます。
この状況下では、SpO2の低下で呼吸が困難になり、患者は口を空け「ハーハー、ゼーゼー」と苦しそうに呼吸をします。また、口を空けて呼吸をすると時間を追ってSpO2は改善しますが、残った麻酔薬により再び寝てしまうと、気道が閉塞されるリスクが高くなります。
このような状況を防ぐために、短頭種の回復期には低用量のメデトミジンを投与し吸入麻酔薬をしっかりと排出させることが大切になるのです。
今ご紹介した2つは、より安全に麻酔管理をおこなう方法の一例です。今回は、このようなトラブルを①麻酔前評価 ②麻酔計画 ③麻酔導入 ④麻酔維持 ⑤麻酔回復の5段階に分け、それぞれの段階で起こりうるトラブルとその対処法をわかりやすくまとめました。
たとえば、
●手術予定の前夜から絶食絶水で来院した場合、起きうるトラブルとは?
●僧帽弁閉鎖不全症の患者の術前内服薬は、当日はどのように指示すればよいのか?
●手術当日のACE-Iは中止すべきか?
●麻酔導入中にチアノーゼになった場合、どう対処すればいいのか?
●なぜ、麻酔導入中に可視粘膜を見ているだけでは不十分なのか?
●局所麻酔薬を誤って静脈内投与してしまった場合の対処法
●術中の適切な輸液量を知るには?
●術中出血時の対応法
●急にカプノメータが低下(上昇)した場合、どう対処すればよいのか?
●術後に低酸素血症が発生した場合の対処法
など、麻酔モニタリングで起きうるあらゆるトラブルを想定し、適切に対処するためのノウハウがまとめられています。
「麻酔管理は、血圧管理」と言われるほど、血圧は重要なポイントです。
より安全に麻酔をおこなううえで正確な血圧測定は欠かせないのですが、「麻酔導入後、全身麻酔を開始したけど血圧が測定できない」というトラブルがよく起こります。
血圧を測る方法には、パルスまたはドプラ法、オシロメトリック法などいろいろな方法がありますが、ここでは一歩進んだ方法として、動脈にカテーテルを入れた「観血的動脈血圧測定」のやり方をご説明します。
この観血的動脈血圧測定には、
・リアルタイムに血圧測定ができる
・低血圧時にも正確度が高い
・カテーテルの留置部からいつでも採血が可能
というメリットがあります。より安全な麻酔管理をおこなう上でとても有効なテクニックですので、未習得の先生はぜひ、この機会に学んでください。
そして今回、より安全に麻酔管理をおこなう上で欠かせないノウハウである、「麻酔モニタリングのトラブルシューティング」をDVDに収録し、先生にお渡しいたします。
講師は、酪農学園大学附属動物医療センターで、犬と猫の麻酔・疼痛管理と集中治療管理を担当している伊丹先生です。
では具体的に、今回のDVDからどんなことを学べるのか?
収録内容の一部をご紹介すると…
今回は、伊丹先生の「麻酔モニタリングのトラブルシューティング」をわかりやすく学んでいただくため、セミナーで使用したレジュメをプレゼントいたします。
DVDに収録された伊丹先生の講義がまとめられた、セミナーレジュメを冊子にしてお渡しいたします。DVDをじっくり視聴するお時間がなければ、まず、この冊子から先に目をとおしてください。
そして、気になる個所の映像から視聴していただければ、効率のよい学習が可能です。もちろん、復習用のテキストとしてもご活用いただけます。
「もしかしたら、もう、知っている内容ばかりかもしれない…」「内容を理解できるか不安だ…」「期待にそえる教材なのか?」など、こう思われた場合もご安心ください。
なぜなら、DVD教材の内容に、ご納得できなければ返金させていただくからです。60日間、じっくりとDVDをご覧いただき、先生の選択が正しかったかどうかをご判断ください。
送料も、返金振込料も、弊社が負担させていただきます。返金保証が付いている、獣医師向け教材なんて、ほとんどありません。これは、今回リリースするDVD教材への自信そのものです。
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ただし、注意点があります。この価格(DVDリリースキャンペーン価格)での販売は、11月30日まで。12月1日以降は、定価の39,980円に戻ります。
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